以前アライメントゲージを自作してみたが、やはり適当に作った自作品なだけあって精度が微妙で、実は少し前に壊れてしまった。
やはりアライメントは精度が命なのだが、だからといっていちいちお店に出しているとお金がかかって仕方がない。ここはやはり、前々から欲しかったアレを手に入れるしかないか…。
イケアフォーミュラ MAPLE A-ONE GAGE
というわけで自宅でアライメントを取るマニア向け商品、イケアフォーミュラ MAPLE A-ONE GAGEを入手。今回買ったのはSTDのフルセット。
MAPLE A-ONE GAGEは
- ハーフセット
- フルセット
- パーフェクトセット
の3種類があって少しわかりずらいが、おおよそ内容は上の写真のようになっている(不要なパーツが出てくるので微妙に異なる)。ハーフセットは一輪ずつ、フルセットは二輪ずつ、パーフェクトセットは四輪同時に計測が可能。パーフェクトは値が張るが、ハーフセットで計測するのはかなりめんどくさそうだったので、フルセットを選んだ。予算に余裕がある人はパーフェクトセットがベスト。
MAPLE A-ONE GAGEの使い方
下準備
アライメントは通常リア→フロントの順で計測、調整を行う。また車にもよるが、調整できる場合は
- キャスター角
- キャンバー角
- トー角
の順で調整を行う。
MAPLE A-ONE GAGEに限らず、アライメントを取る際はできるだけ水平な場所で行う必要がある。アライメントの調整は車両下に潜り込んで行う必要があるので、僕はかさ上げの台の上に車を乗せて行っている。逐一ジャッキアップすることでも対処可能だが、さすがにそれはめんどくさい。
かさ上げの台とタイヤの間にはビニール袋を敷くと、適度に滑るのでアライメント調整がスムーズに行える。台の上に乗せた後は少し車をゆすってサスペンションをなじませる。こだわる場合は空気圧も四輪揃えておく。
追記:現在は↓の格安定盤を使ってアライメント調整を行っている。地面の水平が取れていない場合、トー角はそこそこの精度で測れるが、キャンバー角を揃えるのは非常に困難。
四輪ともホイールナットを2か所外す。4穴なら対角線、5穴なら対角線に近い場所のナットを外す。
またアライメント計測・調整時はハンドルセンターを出しておく。養生テープをコラム~ハンドルに貼ってもハンドルを固定しておく効果は無いが、もしハンドルが動いたときには一目でわかるので、僕は念のため貼っている。
キャスターの測定
キャスターは直進状態と、任意の舵角までハンドルを切った状態でのキャンバー角を計測し、そこから計算式に当てはめることで計測可能。面倒なのでここでは割愛。
キャンバーの測定
まずはリアのキャンバー角から測定する。
リアホイールに短い棒を2本、ハブボルトのピッチに注意してナットを外した場所に装着する。ホイールナットの座面と棒の端面の形状は異なるので、ホイールに当たるところまで軽く手で締めればOK。
測定板をプラスの皿ネジで取り付ける。
測定版を垂直に立て、☆CAMBERの文字が刻まれている場所に、黄色い細い紐のワッシャーが括り付けられている側を引っかける。
重りを吊るし、紐が測定板にぎりぎり接しない位置に調整し、キャンバー角を読み取る。上の写真だとおおよそ2.7°ネガティブキャンバーになっている。
トー角の測定
続いて、同じ車輪のトー角を測定する。
重り付きの紐を外し、先ほど取り付けた測定板を水平にセットする。
今回はハーフセットなので、フロントホイールに、長い方の棒をハブボルトのピッチに注意して取り付ける。フルセットの人はフロントホイールにも測定板を取り付ける。
付属のゴム紐と重り付きの紐を、上の写真のように連結する。
ゴム紐を棒の溝に、紐が車体に対して平行になるようにひっかける。ひっかける場所は車の前後トレッドによって変化する(詳しくは後述)。
紐を引っ張り、重りが付いている側を測定板の外側にひっかける。
測定板と紐が接しないギリギリに測定板の角度を調整し、内側のトー角の読み取る。上の写真ではトーイン0°25分となっていることが分かる。
トーインかトーアウトか分からなくなった時は、タイヤに大きくトー角が付いているときのことをイメージすればわかりやすいと思う。
ハーフセットで十分使える
フルセットは測定板が四輪分無いので、リア二輪→フロント二輪の順で計測しなければならない。測定板をいちいち付け替える必要があるので手間が増えるが、時間さえかければ特に難しいことはなかった。でもさすがにハーフセットはかなりめんどくさいと思うので、フルセットがコスト的にもベストだと思う。パーフェクトセットに比べると、厳密に言えば紐を引く基準点がハブの中心ではなくなるのでトー測定の精度が劣るのだが、自宅アライメントでそこまで厳密さを求めても仕方がない気がする。その前にまず地面の水平を取ったほうがいいだろう。
計測値はかなり見やすいし、精度もかなり高く、使い勝手も良好。自宅でアライメントを取りたいという酔狂な人は、一つ持っておいて損はないと思う。
トー角調整時に紐を車体に平行に引く方法
トー角を調整するためには、車体に対して紐を平行に引かねばならない。MAPLE A-ONE GAGEでは、車体の前後トレッド幅を把握することで、これを簡単に可能にしている。
前後トレッド幅は車の諸元表に必ず明記されているので、インターネットで調べれば容易にわかる。
例えば上の図のように前後トレッド幅に10mmの差がある車の場合、片側5mmずつトレッドがズレている計算になる。
リアトーを計測する際、車体に平行に紐を引けるようにするためには、フロントを基準点より5mm外側に出す必要がある。逆にフロントトーを計測する際には、リアを基準点より5mm内側にすればよい。
ハーフ/フルセットの場合は棒の深い溝の部分が基準点で、そこから5mmずつ溝が刻まれている。
パーフェクトセットの場合は測定板の中心に開いている穴にゴム紐の金具をひっかける。こちらは2.5mmずつ引っかけるポイントが用意されている。
これらの正しい位置にゴム紐を引っかければ、車体に対して平行に紐が引けるようになる。
ただしややこしいことに、トレッド幅はタイヤと地面の接点の中心間の距離と定められている関係上、キャンバー角によって変化してしまう。RX-8の場合は純正で前1500mm/後1505mmとなっているが、これはリアキャンバーが寝ているためであって、実はハブ端面間の距離は前後同じ。MAPLE A-ONE GAGEはハブの中心軸の延長線上に設置するゲージなので、前後トレッド差を考慮する必要は無い。
また更にホイールオフセットやホイール幅によってトレッド幅は変化するし、ホイールの銘柄によってハブ端面~ナット座面間の距離が変わるので、できれば前後同一銘柄、同一サイズのホイールを使用して計測することが好ましい。
それが難しい人は、一度キャンバー角を前後ともに0°にして、タイヤの外側間の距離を測ることで、前後トレッド差を正確に把握することができる。
サスペンションアームを変更してトレッドが大きく変化している場合は…一度アライメント専門店に調整を依頼したほうがよいと思う。
RX-8のアライメント調整方法
参考までにRX-8のアライメント調整箇所を紹介する。
フロントでは、車体前方向から見て青がキャスター、緑がキャンバー、赤がトーの調整ボルト。
それぞれ微量につられて動くので、キャスター→キャンバー→トーの順で調整する。
リアは車体後ろ方向から見て、緑がキャンバー、赤がトーの調整ボルト。
こちらもキャンバー→トーの順で調整する。
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