タイヤの空気圧を調整したり、ちょっとしたゴミを飛ばしたり、洗車後の水滴を落としたり、自宅タイヤ交換時にビートを上げたかったりと、地味にコンプレッサー欲しいなと思う機会は多い。僕レベルのDIYアマチュア整備ユーザーだとビート上げ以外なら無くてもどうにかなることも多いが、有るに越したことはない、それがコンプレッサー。
良いのを買おうと思うと値段が高いし大きくて邪魔な一方、コンパクトなモデルは安いけど性能がしょぼくて結構ストレスがある。知人に借りてタンクレスタイプや、8Lタンクぐらいの小型コンプレッサーを使ったことがあるが、可搬性以外ではかなりイマイチに感じた。
なんかこう、手頃な値段でそこそこな性能のコンプレッサーは無いものか。
ONE STEP 静音オイルレスエアーコンプレッサー 12L
というわけで選んだのは、ONE STEPという大阪の会社が販売するコンプレッサー。言わずもがなだが中華製。
- 12L
- 22L
- 30L
- 40L
とタンク容量が複数あり、タンク容量に合わせてモーターのパワーやピストンの数が変わるのだが、僕が選んだのは一番小さい12Lモデル。ちなみにどれもオイルレスで静音設計。
中華製品らしくおまけが充実しており、
- 直径8mmと少し細めのエアホース
- よくわからない中国語が書かれた軍手
- ペラペラな保護メガネ
- 見るからに安っぽいエアガン
- ゴムの脚
- エアフィルター
- 取扱説明書
が付属。エアホースとエアガンは物の善し悪しは置いといてもあると嬉しいが、保護メガネとか軍手は要らない。後述するが、もっと必要なものが付属していないのが困る。
ちなみに取扱説明書はごく一部を除いてとてもまともな日本語で書かれていた。取説を作ってるのは日本人な様子。
スペック
- 電圧:100V
- モーターパワー:850W
- タンク容量:12L
- 空気吐出量:116L/min
- モーター回転数:1400RPM
- 潤滑方式:オイルレス
- サイズ:47.5(横)×21(幅)×55(高さ)cm
- 重量(実測):17.8kg
サイズで横幅が47.5cmとなっているが、実際にはエアフィルターを取り付けるので、+2~3cmほどになる。タンク容量10L以下の超小型コンプレッサーに比べると場所は取るし、モーターやピストンが大きいので、思ったよりも大きいなといった印象。
また重量は実測で17.8kgと、少しズシッとした重さを感じる。持ちてもあるので、成人なら男性でも女性でも片手で持ち運べるサイズ感と重さではあるが、見た目よりは重たく感じる。
組み立て
使う前にはごくごく簡単な組み立てが必要。
コンプレッサーの空気穴に、
付属のエアフィルターをねじ込む。シールテープは付属されていなかったので巻かなくても良いと思うが、一応僕は手持ちのシールテープを巻いてからエアフィルターを装着した。割とガバガバなのでフィルターとしてどこまで機能してるかは謎。無いよりはマシ。
あとは底面に付属のゴム脚を4ヶ所固定する。ボルトナットが付属しているのでそれを使うのだが…、
付属の鍋ボルトの頭がゴム脚の穴に対して小さいので、締め込むとゴム脚が外れる。ワッシャーがあれば即解決できるのに、それが付属していないから脚が取れてしまう。余計なおまけを付ける前にワッシャーを付けて欲しい。
僕はめんどくさいので軽く手締めする程度にしておいた。
ちなみにゴム脚は吸盤状になっているので、つるつるした場所だと脚が吸い付き、コンプレッサーを持ち上げた時に脚だけが取り残される。やはりワッシャーは必要なので後日装着することにする。
ちなみに上部にある持ち手のグリップが簡単に抜けてしまうので、適当な接着剤で固定しておいたほうが良い。もしくはグリップを外してしまうか、テニスのグリップテープみたいなものを巻くか。
そこそこ実用的なパワーと静音性
コンプレッサーで大事なことはいくつもあるが、あくまでも趣味の範囲で軽作業に使うのであれば、
- 設定圧力に到達するまでのスピード
- 圧力をどこまで維持できるか
- 静音性
あたりが重要。業務と違って長時間の連続運転なんてそうそうさせないし、このサイズとパワーのコンプレッサーでエアツールなんて使えるわけがない。そのへんの割り切りは必要だろう。
というわけで、空の状態から設定圧力の0.8MPaまで到達するまでの時間を測ってみる。
計測の結果、空から0.8MPaに到達するまでの時間は1分5秒。販売ページには「充填時間44秒!」と書いてあるのでそれに比べれば長いが、遅いコンプレッサーだと数分待たされることもあるので、かなり実用的な範囲だと思う。0.6MPaを下回ると再起動するが、そこから0.8MPaまで戻るのは25秒だった。
付属のエアホースとエアガンを使って1分間ほど連続でエアを出してみたところ、最終的には0.28MPa付近まで圧力が落ち込んだ。コンプレッサーは動いているが、エアの放出量に対して供給が追いついていない。
ただ12Lと小さいタンクのわりにはかなり粘るので、850Wツインピストンのパワーは思っていたよりも強い。実際には1分間もエアガンを握り続けることなんてそうそうないし、性能の低いコンプレッサーだとそよ風レベルの風量しか出てこないような状況だろうから、割と使えそうに感じた。
実用例としてDaytona675のタイヤのビート上げに使ってみた。コンプレッサーがしょぼいとかなりの時間がかかるが、180/55ZR17サイズのリアタイヤのビートが52秒で上がった。
車屋さんやバイク屋さんならイライラする遅さだが、趣味の範囲なら悪くないスピード感。僕は時間かかるなぁとはとは思ったが、不安になるほど遅くは感じなかった。そこそこ実用的な範囲だと思う。
静音性は高い
静音性はメーカー公称値で63dB。これはだいたい走行中の自動車内やデパートの店内、普通の会話と同じぐらいの音量。静音じゃないコンプレッサーだと80dB(救急車のサイレンぐらい)以上はあってかなりうるさい。
僕はこのコンプレッサーを室内で起動させてみたが、コンプレッサーとしてみると割と静かで、少し声を大きくすれば会話も普通にできる程度の音量。住宅地の真ん中で作業していても、井戸端会議しているお隣さんの声のほうが大きく感じるぐらいのイメージだった。
まとめ:低価格で実用的なパワーを持つコンプレッサー
ONE STEPの12Lコンプレッサーの良いところ・悪いところをまとめると以下の通り。
- 約1.5万円の低価格で買える
- 欲張らなければ実用的なパワー
- コンプレッサーとしては静か
- あんまりコンパクトじゃない
- 実測17.8kgでそこそこ重たい
- 電源コードが1.5mで微妙に短い
- 持ち手のグリップが簡単に抜ける
- ゴム脚の固定が微妙
とにかく小さくて軽くて持ち運びできるコンプレッサーを求めている場合は、これはあんまり向いていない。持ち運びできるサイズではあるが、タンクレスでもっと小さいコンプレッサーも世の中には存在するので、サイズを最優先する人はそういうのを選ぶべき。
基本的にコンプレッサーなんて大きくてハイパワーであればあるほど性能的には良いので、そういう意味でも微妙。一般家庭だけどガレージに常設できるなら100V最強の2馬力コンプレッサーを選ぶべき。ただそういう物は大きいし値段も高い。
ONE STEPの12Lコンプレッサーは割と、そこそこ実用的なパワーと静音性を持ち合わせていた。あんまり多くのことを望むことはできないし、耐久性も不明。
タンク容量的にもコンプレッサーの能力的にも多少の我慢は必要だが、ひどくストレスを感じるほどじゃない。でも僕みたいなサンデーメカニックが思う「コンプレッサーがあったら良いな~」の範囲を叶えてくれる。それを約1.5万円で。僕にはとてもちょうどいいコンプレッサーだった。
コメント