LAP+を使ってTSタカタサーキットでの走りを解析し、サーキットの攻略法を探る

先日TSタカタサーキットで走った時に出した2セッション目のタイムと3セッション目のタイムが、3セッション目のほうがセッティング的にダメダメだったのにほぼ同タイムだったので、せっかくだからLAP+を使ってその違いを解析してみる。ついでにTSタカタサーキットの攻略法も探っていく。

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LAP+での解析

解析するのはこの二つのラップ。

2セッション目に出した、まだ手探り状態ながらセッティングがそこそこいい状態の時と、

3セッション目のセッティングを大外ししたときのラップ。タイム差はわずか0.032秒。

LAP+にその二つのラップを読み込ませ、コースを5つのセクターに分割。ラップの読み込み方法やセクターの分割方法は省略。コース図右側のグラフは

  • 速度
  • 縦G
  • 横G
  • 旋回半径

を表示させている。ちなみにLAP+上では、

  • セッション2の63.613→63.606
  • セッション3の63.581→63.607

とサーキット公式タイムと若干の差がある。ただGPSロガーでこれだけしか差がないんだから、747ProSの精度の高さがよくわかる。

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またここでは63.613秒をA63.581秒をBと呼ぶ。GPSには時間の経過とともに軌跡が微妙にずれてしまう性質があるが、この2つのラップはストレート上の軌跡がほぼ一致しているので位置の補正は行わなかった。セクターごとの解析は各セクターの開始ポイントに横位置を合わせたのちに行っている。

セクター1:1~2コーナー

ラップタイム 63.613 63.581 AB
セクタータイム(s) 12.245 12.527 -0.282
距離(m) 253.2 261.3 -8.1
平均速度(km/h) 74.4 74.2 0.2
最高速度(km/h) 121.8 121.6 0.2
最低速度(km/h) 41.4 41.4 0.0

セクター1は1~2コーナーに設定した。ラップタイムはAのほうが約コンマ3速い。1コーナーの進入速度である最高速度や、2コーナーで計測される最低速度、さらに平均速度にもほとんど差はないので、このコンマ3は8mもある走行距離の差によるものだと分かる。

ではその走行距離の差はどこで生まれたのかを見ていく。

①の走行軌跡を見てみると、1コーナーの回り方はほとんど変わらないが、Aのほうが明らかにコンパクトなラインで2コーナーを立ち上がっている。②の速度グラフを見ると、BAよりも1コーナークリッピングポイントでの速度の落ち込みが激しいが、反対に2コーナーまでに加速している。これは③の縦Gグラフを見ても明らか。オンボード動画を見ると、Aでは1~2コーナーの間で2速へシフトダウンしたのに対し、Bでは1コーナー進入時にシフトダウンしその後2コーナーへアプローチする前にいったん加速している。このシフトタイミングの違いが、1コーナーに向けハンドルを切り始めるポイントの違い(④)に表れている。

つまりBでは1コーナーで減速しすぎ、それを取り返そうと1~2コーナー間に加速しすぎた結果2コーナーに対しブレーキを多く踏まねばならなくなり、その分2コーナーに向け旋回するタイミングが遅れたことで走行距離が長くなってしまった、ということがわかる。またRX-8の場合1~2コーナーの間でシフトダウンする影響はほとんどなく、むしろ2コーナーに向けボトムスピードを落としすぎることなく減速できるためメリットが大きいようだ。1~2コーナーの短い区間でタイムを稼ぐのではなく、2コーナーをきれいに立ち上がってバックストレートを生かすことが大切。

セクター2:3コーナー

ラップタイム 63.613 63.581 AB
セクタータイム(s) 13.027 12.742 0.285
距離(m) 292.2 285.3 6.9
平均速度(km/h) 80.5 80.7 -0.2
最高速度(km/h) 107.6 107.6 0.0
最低速度(km/h) 59.0 58.1 0.9

セクター2はバックストレートエンドの3コーナーに設定。Bがセクター1で遅れたコンマ3をここで取り返している。ここでもラップタイムの差は走行距離に大きく影響されている。またBのほうが最低速度が遅いわりにタイムが速い点も注目。

バックストレートは緩く左に曲がっているので、横Gグラフは3コーナー手前で微妙に上に触れているが、その後スッと下へ下がる。この時Bでは直線的に横Gが立ち上がっていくのに対し、Aはふらふらと揺れながら横Gがかかっていく(①)Aの時はまだ手探り状態だったのでそういう理由があるのだが、この違いは旋回半径がスムーズに変化していない点(②)にも表れている。Aではコーナーのアプローチに難があった結果大周りになってしまい、さらに加速するポイントも出遅れた(③&④)。またAのふらふらと揺れる横Gはコーナー立ち上がりでも続き、それは⑤の旋回半径にも表れている。

つまりこのコーナーは、アプローチの時点ですべてが決まり、ここでしっかりとクリップに着くことが素早い加速に繋がることがわかる。ただ、このコーナーでは抑え込めて入るものの、Bの時のセッティングではリアが軽かったことから縦Gの立ち上がり方があまり一定していない。

セクター3:S字区間

ラップタイム 63.613 63.581 AB
セクタータイム(s) 15.899 15.930 -0.031
距離(m) 265.6 268.0 -2.4
平均速度(km/h) 59.3 59.4 -0.1
最高速度(km/h) 95.1 97.6 0.5
最低速度(km/h) 35.7 34.0 1.7

セクター3はTSタカタで最も低速なS字区間に設定。前後半の高速セクションに比べると極端に低速なこの区間では、AもBもほとんどタイム差はない。

しかしながら2個目の右コーナーまではBが先行。Bは1個目の進入で少し突っ込みすぎたが、①の走行軌跡を見てもわかるように、その後コンパクトにまとめ走行距離を短くとってAに対しリードを築いている。AはボトムスピードこそBより高いが、その分大回りになってしまっている。しかし、Bの時のセッティングはリアが軽かったせいで3個目の脱出でテールスライドし、②旋回半径が大きくなった結果アウト側にタイヤを落としてしまう。このため一度アクセルを戻してしまい十分に加速ができなかった(③)。逆にAは大回りした結果3つ目の脱出が苦しくなり、こちらも次に向けて十分な加速ができていないことが③の縦Gグラフからわかる。

この区間はコーナー一つ一つを速く走るのではなく、しっかりとコンパクトにまとめその次の7コーナーに向けた加速体制を作ることが重要。

セクター4:7コーナー&複合コーナー

ラップタイム 63.613 63.581 AB
セクタータイム(s) 15.644 15.766 -0.122
距離(m) 359.4 358.7 0.7
平均速度(km/h) 82.3 80.9 1.4
最高速度(km/h) 102.6 101.6 1
最低速度(km/h) 58.8 54.0 4.4

ここではBは直前のS字出口と、その直後の7コーナー進入でテールスライドしたおかげで大幅に遅れをとった(複合コーナーのブレーキング時点約で0.3秒)が、その後の複合コーナーで一気に0.1秒差まで取り返している。

7コーナー前でB①速度グラフが微妙に揺らいでいるのは、2セッション目の途中からここで3速へとシフトアップすることにしたから。そうしないと複合に入る前に完全にレブってしまうのだ。こっちのほうがいいことは他のデータと比較しても明らかだった(複合アプローチでの速度が速い)。

しかしその7コーナー進入でBは大きくテールスライド。これは②の縦Gが大きく落ち込むことや、③の横Gが立ち上がっていないことからもわかる。結果ボトムスピードが落ち込みコーナー全体のスピードが低下した(④)

その後の複合コーナーのアプローチだが、A⑤横Gがなだらかに落ち込み(左にGがかかり)⑥旋回半径もなだらかな曲線を描いているのに対し、B⑤横Gがいったんゼロに近くなり、それに合わせて⑥旋回半径もいびつな線を描いている。これはどういうことかといえば、Aは斜めに曲がりながらブレーキングしているのに対し、Bはいったん車体をまっすぐにしてからブレーキングを行っているのだ。狙いはブレーキング時間を短くし、複合コーナーをコンパクトに簡単なRで曲がることにある。複合コーナーのアウト側に向けてブレーキングしているため大周りになってしまいそうだが、結果的に小さく曲がることが可能だ。実際に旋回半径を見てもわかるように、AよりもBのほうがよりコーナーを曲がっている距離が短い。またさらに⑦縦Gを見れば、旋回中ながらより早いタイミングでアクセルを開け、早い段階で脱出スピードが立ち上がっていることがわかる。

というわけで7コーナーはテールスライドを抑え車速をあげることを意識しながら複合コーナーに向けてまっすぐなアプローチをとる。車体に横Gが少ない状態で短くブレーキングしたのちにコンパクトかつハンドルの舵角を一定にして複合コーナーをまとめ、複合コーナーの中間にある仮想クリッピングポイントからアクセルを開ければ、素早く最終コーナーに向けて加速ができる。

セクター5:最終コーナー

ラップタイム 63.613 63.581 AB
セクタータイム(s) 6.790 6.641 0.149
距離(m) 183.3 181.2 2.1
平均速度(km/h) 97.0 98.3 -1.3
最高速度(km/h) 111.3 112.0 -0.7
最低速度(km/h) 87.9 90.3 -2.4

セクター5はTSタカタサーキットの3速全開で飛び込む最終コーナーに設定。わずか6秒半のコーナーでコンマ1.5もの差ができている。

このタイム差は明らかに①の車速の違い。平均速度で見てもこの区間ABには2.4km/hもの差がある。どうしてこんなことが起こるのか。②の縦Gを見ると、アクセルオンのタイミングはBのほうが早いが、③の横Gを見てもGのかかり方はどちらも変わらず、むしろBのほうが横Gがかかっている距離が長いように見える。ただし④の旋回半径Bのほうがきれいに立ち上がっている。この違いはどこから来るのか。

それはこの最終コーナー内側にあるアスファルトの段差に最後までタイヤをひっかけられるかによる。最終コーナーは、その段差開始ポイントの一歩手前にある赤いパイロンに突っ込むぐらいの勢いで早めにアプローチして、段差を利用して走るとコーナリング速度を稼ぐことが可能だ。某漫画で言うところの「溝走り」である。

実際にロガーで見てもAよりもBのほうがわずかにイン側を走っている。これが最終コーナーを速く走るコツだ。

比較動画

ついでに比較動画も作ってみた。適当に作ったので最初と最後のLAP+が動いてないけど気にしてはいけない。

GPSロガーは結構使えるぞ!

正直僕はGPSロガーに懐疑的な印象を抱いていたんだけど、今回解析してみて結構いろんなことが読み取れることが分かった。まだまだいろんなことがここから理解できそうな気がするので、ガンガン使ってみたい。