Zeknova RS606 R1のレビューをまとめる。使用していたZeknova RS606 R1は4本共に2020年第10週製造品。UTQGは140AAA。サイズは255/40R17で、重さは一本辺り11.6kgだった。
使用期間は2020年11月~2021年5月までの6カ月間。走行距離は2709km。
サーキットでの印象
サーキット走行は岡山国際サーキットとオートポリスの2日間だけ行った。
空気圧は温間220kPa狙い
Zeknova RS606 R1はタイヤ単体だとそれなりに剛性があるタイヤなのだが、走ると意外と柔らかいので、そこまで空気圧を低く設定するのはグリップ走行では良くないかもしれない。路面温度にもよるだろうが、冷間180kPaからスタートしても230kPaぐらいまではすぐに上がる。エア圧が高いとトレッド面ばかりが動いているような感じになって良くないので、感触的には温間210~220kPaあたりがちょうどよさそうだった。
ドライグリップ★★★★☆
最近のスーパーハイグリップタイヤはさておき、これまで使ってきたアジアンタイヤの中でも単純なグリップ力で言えばかなり高い。縦横のグリップ感のバランスも良い。ただし限界付近でズルズルと流れていくので、ちょっと扱いとしては難しい印象だった(その点については操縦性の項目に記述)。
レイングリップ 不明
レインコンディションのサーキットを走っていないので、レイングリップは不明。
熱入りの早さ★★☆☆☆
11月と2月にしか走っていないのでその状況下での話となるが、タイヤの熱入りはさほど速くない。冷えている状態では突然すっぽ抜けることもあるので、気持ち抑え気味で走ってタイヤに熱を入れる必要はある。国際サーキットならアウトラップ~1周目までは熱入れに充てたい。もしかすると夏場だとそこまで気にしなくていいのかもしれない。
周回性能★★★★☆
連続周回したときのグリップダウンやフィーリングの悪化は割と少ない。安いアジアンタイヤにありがちな「最初の一周目にしかタイムが出ない」ということも無いし、熱が入るとドカンとタイムが落ちたりすることもない。熱の入りによってじわじわとタイムとフィーリングが悪化していく様子は一般的なもの。連続周回でタイムが上がるタイプの人は扱いやすいと思う。
操縦性★★☆☆☆
Zeknova RS606 R1は操縦性に関する評価が難しい。まずトレッドパターンがハイグリップタイヤにしては細かく、トレッドゴムも柔らかめなことも相まって、常に少しグニャグニャするようなフィーリングを味わう。グリップの限界付近ではズルズルっと流れ始めるので唐突さがなく安心ではあるが、感触としてはイマイチ。ちょっと立ち上がりの重さもある。
またタイヤが捩じられた状態から元の形に戻ろうとする力が弱いように感じる。なのでハンドルの舵角に対して思ったほど車が旋回しない。なんか曲がらないな~と思ってさらにハンドルを切ると、当然ながら良くないことが起こる。
耐久性★★☆☆☆
このタイヤ、縦方向に使っている分にはそこまで減らないのだが、横方向に負荷をかけるとすごい勢いで無くなる。もちろんタイヤというのは一般的にそういう特性があるのだが、それにしてもその傾向が強い。
オートポリスの走り放題プランを満喫しながら、曲がらないな~とハンドルを切っていたら、フロントタイヤがあっという間になくなってしまった。あの時ジャッキさえ持っていればローテーションできたのに。あまり横に使えていないリアタイヤも残り4mmまで減っていたうえに、摩耗肌もあまりきれいではないので、多分上手に使えても耐久性はさほど高くないだろう。
Zeknova RS606 R1を活かす方法
そんなわけでZeknova RS606 R1を活かそうと思うと「アクセルONでもガンガン曲がってくれるセットアップの車」が必要になってくるかもしれない。または長いコーナーの無いショートサーキットで立ち上がり重視な走りをすれば、このタイヤの長所を活かせるはず。横に使ってはいけない。
反対にアンダー気味でデフが無い車、ハンドルをこじってしまう人、長いコーナーのあるサーキットだと、曲がらないしあっという間にタイヤが無くなってしまって悲しい思いをするかもしれない。
街乗りでの印象
サーキットで早めに無くなってしまったので、街乗りでの印象は参考程度。
ドライ性能★★★★★
多くのハイグリップと同じようにドライ性能に不満は無し。道交法に則って走っている限りにおいて何一つ不満はなく、市街地から山道から高速道路まで安心して走れる。
レイン性能★★★★★
レイン性能も不満は無し。道交法に則って走っている限り問題は無いが、一般的な街乗りタイヤに比べれば溝が少なめなので、明らかに水たまりが多いところでは注意したほうが良いだろう。
静粛性★★★★☆
Zeknova RS606 R1の個人的に一番いいなと思ったところはここ。ハイグリップタイヤの割には静粛性が高く、激しいロードノイズや唸り音が少ない。結果高速道路を延々と走ったりするのがすごく快適。これまで使ってきたアジアンハイグリップタイヤの中で一番静かかも。
乗り心地★★★★☆
乗り心地については可もなく不可もなく。どちらかといえば当たりが柔らかめで乗り心地に関してはさほど悪くない(ハイグリップタイヤとして)。
耐久性 不明
サーキットで早々に無くなってしまったので、街乗りでの耐久性については評価しかねる。
使い方次第で高いパフォーマンスを発揮できるはず
静粛性と乗り心地の面においてアジアンハイグリップタイヤとしてはかなり好印象なZeknova RS606 R1。グリップレベルも非常に高く期待できたのだが、残念ながら使用時の僕のRX-8のセッティングがこのタイヤにあっておらず、早い段階ですり減らしてしまった。これまでアンダー気味にセットアップしていたおかげで、Zeknova RS606 R1の悪いところを助長させてしまったような印象だった。セットアップや乗り方を注意すれば高いパフォーマンスを発揮できると思う。
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