歴代のスズキ エブリイにはコストダウンのためだろうが旧式のロッドアンテナが採用されている。手動で1mぐらい伸ばして使う懐かしのアレだ。逆に今どきこんなアンテナ使ってる車なんて殆どないのだから、普通にショートアンテナを採用するほうがコストダウンに繋がりそうな気がするのだが、とにかく相変わらずDA17Vにもこれが使われている。
いちいち手で伸ばしたり見た目がダサいことについてはあまり気にならないのだけど、このアンテナ、とにかく感度がめちゃくちゃに悪い。近距離の運転中はラジオを聞くことが多い僕にとってはこれはちょっと困るので、どうにか改善したい。
定番のワゴンR(MC11S/MC21S)アンテナはすでに廃盤
DA17Vのラジオアンテナ交換について調べると、すぐに2代目ワゴンR(MC系)のアンテナ流用術が出てくる。MC系ワゴンRは1998年~2003年に生産されたモデルで、これのラジオアンテナはブースター付きのマイクロアンテナを採用。そっくりそのままDA17Vに取り付けることができる上に感度がかなり良くなるのだとか。そもそも今どき外からボルト2本で止めるタイプのラジオアンテナ自体がかなり珍しいので、こういう流用術があるのは非常に嬉しい。
で、そのラジオアンテナの品番は「99000-99020-MAT」なのだが…
2021年の初頭には廃盤になっていた。
そりゃ20年前の車のラジオアンテナなんてわざわざ作ってる方がおかしい話なので、むしろ2020年頃まで普通に購入できたほうが不思議ともいえるかもしれない。ちなみに12,000円ほどで新品が購入できたようだが、今では逆にプレミアが付いて中古品がやたらと高い値段で流通している。軽自動車のアンテナに4~5万円を出す人が果たして存在するのだろうか…?
代替品を販売している人を発見
で、調べてみるとその「99000-99020-MAT」の代替品を作ってヤフオクやメルカリで販売している人を発見した。見るとアンテナを外した際につけるカバーや、おそらく日産系と思われるラジオアンテナを組み合わせて作っているもののようだ。正直言うとこれを見つけた時点で
「これだったら自分でも作れるな」
と思った。早速写真を参考に部品を探して見て値段を検討してみたのだが…、ヤフオクあるあるで中古のラジオアンテナでも送料が高くてそんなにお買い得感が無かったり、新品で集めると思ったほど代替品の販売価格と変わりがないことが判明。うーん…、これだったら部品を集めたり組み立てたりする手間を考えても、安売りされるタイミングであれば代替品を買ったほうがいいかもしれない…。そもそもそのアイデアを生み出してくれた人には敬意を払うべきだろう。
99000-99020-MAT代替品のラジオアンテナを購入
というわけでその代替品のマイクロラジオアンテナを購入してみた。いくつかの部品を組み合わせて作られたパーツだが、組み立て済みの状態で手元に届くのが嬉しい。地味に各所に手作業での加工が入っており、外観はかなりスマートに作られているあたりも好感が持てる。
またイラストで交換手順を記載した取扱説明書も付属。動画での交換方法も紹介されており、かなり手間がかかっている。アンテナ交換に必要となる手頃なサイズの針金も付属していて至れり尽くせり。
ちなみにこのアンテナにはブースターが付いていないので、正確に言えば99000-99020-MATの代替品とは言えない。ただその分ボディアースをしっかりと取ることでアンテナの感度を上げる工夫が施されており、その重要性については懇々と取扱説明書に記載されている。感度が物足りなければ市販のブースターを付ければ良い。
DA17V、DA64V系に使用可能
DA17V型エブリイはもちろん、一つ前のDA64V型エブリイも同じラジオアンテナを使用しているので、これを取り付けることができる。
当然だがOEMされている日産 NV100クリッパーバンやマツダ スクラムバンにも使用可能で、DA16T型キャリートラックにも使えるとか。コーキング処理をすればJB23型ジムニーやMH21S型ワゴンRにも使えるらしい。
DA17Vエブリイのラジオアンテナ交換
というわけでDA17V型エブリイのラジオアンテナを交換していく。
まずは運転席の足元にあるこのカバーを外す。裏に手を突っ込んで上の方を押せば外せる。
カバーが外れたら、ちょうど赤丸のあたりにアンテナ線が刺さっているのでこれを引っこ抜く。
交換するアンテナ線を、先程アンテナ線を抜いたジャックに刺して動作確認。きちんとラジオ電波を拾うことが確認できた。
純正のアンテナ線を撤去
まず現在装着されているロッドアンテナから伸びるアンテナ線に適当な柔らかい針金をビニールテープでくくりつける。針金が抜けないようにしっかりと巻いておくことが重要。
ルーフに移ると、アンテナベースの2箇所にネジが刺さっているので、これを回して取る。本来トルクスの工具が必要なのだが、マイナスドライバーでも回せるようになっているので、僕はマイナスドライバーで外した。
ネジが外れたらアンテナ線をAピラーに沿うように斜めに引っこ抜いて…
先程くくりつけた針金がでてくるところまで引っこ抜けば、元のアンテナ線が取り外せた。
新しいマイクロアンテナを取り付ける
取り付けるアンテナの線に針金をくくりつけ、ビニールテープでしっかりと固定する。引き抜くときより取り付けるときのほうが引っかかりやすいので、針金が抜けないよう十分注意してくくりつける。
運転席足元から針金を手繰り寄せ、アンテナ線をAピラーやダッシュボードの中を通していく。多少引っかかったときには無理せず、一度少し戻してから引き直せばまず間違いなく通るはず。
ボディアースをしっかりと取るために、前側のネジ穴の頭に紙やすりを当てて塗装を剥がす。余計なところを傷つけないように養生すると良い。
おそらくこれはしなくても大丈夫だが、サビ防止のために導電性のあるカッパーグリスを塗装を剥がした部分に塗っておいた。
あとはアンテナのネジをしっかりと締め、パッキンがボディに密着していることを確認。最後に運転席足元のジャックに新しいアンテナ線を差し込み、カバーを元に戻せば作業完了。
写真撮影を含めても20分程度で作業完了したので、撮影が無ければ10~15分程度で作業を行えるはず。作業難易度は非常に低い。
感度良好!アンテナを伸ばさなくてもラジオを受信できる
取り付けてみた感想だが、まず見た目がスッキリして非常に良い。我が家のガレージは屋根の高さに余裕が無いので、ラジオアンテナを伸ばした状態ではガレージに入れられず、アンテナを折るのが怖くて結局アンテナを伸ばさずに使っていた。流石にアンテナを畳んだ状態に比べれば存在感はあるものの、可倒式のため倒した状態なら屋根の高さよりも低く抑えられるので、アンテナを折る不安から解消されたのが嬉しい。
そして肝心の感度だが、体感的にはラジオアンテナを伸ばした状態よりも良いように思う。まずアンテナが揺れないのでそこでの感度の不安定さが無くなった。これまではビルの間やちょっとした山奥に行くとすぐにラジオが聞こえなくなっていたのだが、そういう場面でもしっかりと粘るし、特に街中ではクリアにラジオが聞こえるようになった。県内ドライブはラジオ派な僕にとっては満足度が高いカスタムになった。
…そもそもスズキがこんなところをケチらなければいい話なんだけど…。
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