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【レビュー】NANKANG CR-S:間違いなく最強クラスのハイグリップタイヤ。ただし使うこなすための条件が…

4.0

台湾製タイヤNANKANG CR-Sのレビューをまとめる。使用したものは4本全て255/40ZR17 98W XL。UTQGは200AAA。3本が2023年第47週、1本だけ2023年第46週だった。新品時のタイヤの幅は実測267mmで、重量は1本あたり12.0kg。使用期間は2024年10月~現在使用中。購入時(2024年9月)の価格は1本26,020円だったが、ポイント還元やクーポンなどにより実質約2.2万円/本だった。

製造年月日的にいわゆる「V2コンパウンド」のタイヤになる。

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サーキットでの印象

NANKANG CR-Sで走ったサーキットは以下の通り。

モーターランド鈴鹿、オートランド作手では自己ベストを更新している。

CR-Sを上手に扱うための条件

始めに書いておくと、NANKANG CR-Sはサーキット走行において間違いなくトップクラスのグリップ力を誇るハイグリップタイヤ。なのだが、僕のRX-8のように車重が1300kg前後で見た目がドノーマル車だと、性能を発揮させるには非常に条件が悪そうに思った。

NANKANG CR-Sはほぼレーシングタイヤレベルの高い剛性を持つタイヤで、タイヤが潰れてから戻るまでの時間がやたらと早いという特徴がある(ように感じる)。ブレーキを踏んでハンドルを切り込んだ瞬間は凄まじいグリップを感じるが、ブレーキをリリースするや否やタイヤが元の形に戻りグリップが抜けてしまう。ヘアピンならどうにかなるが、入口で少しスピードコントロールをするだけの高速コーナーなどとは非常に相性が悪い。

僕の勝手な予想だが、もっと重たい車や、アンダーパネルやGTウィングなどを装備し空力でガッツリ抑え込めるような車であれば、NANKANG CR-Sを潰したままコーナリングすることができるようになるのではないかと思う。とはいえほぼ夏に近い気候でもベストタイムを更新している事実はあるので、最大の性能を活かせない状態でもかなりすごいタイヤなのは間違いない。

もちろんこれは僕が購入した255/40ZR17サイズのタイヤの話なので、もっと小さいタイヤサイズならそのような特性は無いかもしれない。ただ、こればかりは僕の車では確認のしようがない。

なのでここから先の話は、僕の車両条件における使い方や感じたことについて書いていく。

空気圧は170kPa以下が望ましい

試した限りNANKANG CR-Sは180kPa以上にエア圧を設定するとグリップ抜けが顕著に出てくる。なるべくタイヤに潰れていて欲しいのでエア圧は170kPa以下、なんなら160kPaぐらいが望ましい。本音を言えばもっと下げたいぐらいだが、流石に下げすぎるとスピンした拍子にビード落ちなどのトラブルが発生しかねない。できればビードストッパーが欲しい。

可能であれば冷間160kPaから走行を始め、エア圧が上がるたびに元の数値に戻していくような走り方が望ましい。難しい場合には冷間140kPa辺りでスタートさせて、できる限り慎重にタイヤを温めて、160kPa付近でアタックを行うのが吉。

ドライグリップ:★★★★★

NANKANG CR-Sのグリップレベルはこれまで使ってきたどのタイヤよりも高い。ADVAN A052を使ったことは無いが、それに近いレベルという話はさもありなんと感じる。ブレーキを踏みハンドルを切り込むと、その高いグリップから想像よりも多く曲がってしまうので少し戸惑った。縦にも横にも凄まじいグリップがあるし、変なバランスの崩れもなく、斜め方向にもかなり強い負荷をかけることができる。

この感覚から行けばコーナーミドル~出口までも凄いスピードで曲がれるのだろうと期待が膨らむが、ブレーキリリースするとグリップ感が7割ぐらいになってしまうので、どうしても曲がれないしふわふわしたような感覚に陥る。この点に関して評価が難しい。

アクセルを踏み込んでリアグリップを取り戻せば、元々のグリップ力はそれなりに高いので曲がれるのだが、「絶対もっと行けるはずなのに…」というもやもやした気持ちでいっぱいになってしまう。

なので基本的にかなりV字のラインを意識して、コーナリングする時間そのものを短くすると、このタイヤではタイムアップに繋がりやすい。それが全部のコーナーでできれば苦労はしない話だが…。

レイングリップ:不明

現時点でレインでのサーキット走行はしていないので不明。ただし温まりはあまり良くないタイヤなので、あまり高い期待はできない気がする。

熱入りの速さ:★★☆☆☆

低空気圧で使用するせいもあるが、NANKANG CR-Sは熱入りはあまり良くない。ミニサーキットなら2~3周は見ておいたほうが安心。国際サーキットならまるっと1周はウォームアップに費やしたほうが良さそう。いきなり全開にすると案外横に滑るので、ジムカーナ的な使い方には向いていない。

周回性能:★★★★★

周回性能は高い。1周30~50秒程度のサーキットであれば、ベストラップのコンマ2秒落ちで延々と走り続けることが可能。ただ熱が入ってエア圧が上がりすぎるとそこまでタイムは維持できない。

操縦性:★★★☆☆

NANKANG CR-Sはタイヤの戻りが異常に早いという特性上、操縦性が高いとは言いづらい。コーナー前半でのフィーリングは間違いなく良いし、タイヤの滑り出す感じも穏やかでわかりやすい。が、いかんせんコーナー入口とそれ以外でのグリップ感の差があるのは気難しさしかない。

仮にグリップ抜けが無視できたとすれば、転がり感は良いし、レスポンスも良いし、変な引っ掛かりやタイヤのヨレも無く、とにかく素晴らしくレベルが高い。グリップの7割ぐらいで流している時は最高のタイヤに感じる。

耐久性:★★★☆☆

現時点ではまだ使用中なのでNANKANG CR-Sの耐久性を正しく評価することは難しいが、極端に減りが早いタイヤだとは感じていない。むしろタイヤのグリップ力からすれば減りは穏やかだし、摩耗状態も極めて良好。タイヤカスも拾いづらいと好印象。

とはいえ元々の溝が最も深いところで5.3mmしか無いので、そもそも耐久性に対するキャパシティが低いとしか言いようがない。タイヤ交換をお願いしている馴染の車屋さんに「もう交換時期じゃないか」と言われたぐらい最初から浅いので、高耐久性を期待するのは間違っている。

街乗りでの印象:★★★★☆

NANKANG CR-Sの街乗りでの印象は極めて良好。常識的な範囲内では滑る気がしない。熱入りが遅いとは言ったが、普通に走っている範囲ですでにハイグリップタイヤだと思わせるだけのグリップ力がある。雨天の高速道路も走行したが、雨量が少ない状況では全くグリップ感に不安を覚えることがなかった。ただ浅溝で溝も少ないため、豪雨の環境下では多くを期待してはいけないだろう。真冬はまだ経験していないので、そのときに追記する予定。

静粛性に関しても意外とよく、きれいな路面を走っている範囲ではエコタイヤレベルに静か。変な唸りや高周波・低周波ノイズもないので、ラジオやオーディオを素直に聞くことができる。あまり状態の良くない道路だとゴロゴロとした音がするが、十分許容できる範囲内。

ただし乗り心地は良くない。サスペンションを固めすぎて今ひとつ正確に見ることが難しいが、NANKANG CR-Sに交換後は明らかにゴツゴツ感が増した。この手のタイヤに乗り心地を求める人はいないと思うが…。

気難しいが、確かにNANKANG最強タイヤではある

ということでNANKANG CR-Sのレビューを行った。現状は途中経過だが、NANKANG最強、ハイグリップタイヤの中でも最高レベルに近いグリップを発揮してくれるタイヤなのは間違いないと言ってよいだろう。しかも単にグリップするだけでなく、街乗りでの快適さも考慮されている。トータルで考えてもかなりレベルの高いタイヤに仕上がっていた。

が、その性格が気難しい。車のセットアップでどうにかできそうなアイデアはあるが、それがハマるかどうかはまだわからない。ハイグリップなりの尖った性能を持つCR-Sは、万人向けとは言い難いが、使いこなせれば最高のコストパフォーマンスを発揮してくれるタイヤだろう。

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