それは2024年12月のこと。地図を見ていたら気になる道路を見つけたので、Daytona675にまたがり一人でふらふらと走っていた。


道の入口は素晴らしい景観で、ここから先の景色もきっと素晴らしいものなのだろうと思えるほど。しかし途中から明らかに道が悪くなり、もはや林業の業者しか通らないような道に。舗装こそされているが、滅多に車が通らないのだろう、道には枯れ草や塵が積もりに積もっていた。
そんな山道を走り、シフトダウンをしようとした瞬間に事件は起きた。
「ガキン!」
とすごく嫌な音が響き、変な感触が左足に伝わった。何だ何だ!?慌てて道端にバイクを止めるためにニュートラルに入れようすると、なぜか左足は空を切った。
え・・・?
どういうこと・・・???
Daytona675のシフトスピンドルが折れた
ニュートラルに入らないので、とりあえずエンジンを切ってバイクを道路脇に避けた。一体何が起こったのか。バイクを降りてじっくり見てみると…

シフトペダルが本来あり得ない位置に垂れ下がっている。
これは一体…

ん???

あ・・・
終わった・・・
エンジンから生えている、シフト操作をするためのスピンドル(シフトスピンドル)が根本からものの見事に折れてしまっている。シフト操作ができないバイクになってしまった…。
恐ろしいことに今いる場所は殆ど人が通らない山奥で、当然のように携帯電話の電波も繋がらなかった。レッカーを呼ぼうにも呼べない最悪な状況。一体どうすれば。
どうにか自走して帰宅
これを見た瞬間はこのままここで夜を明かすのかと絶望的な気持ちになったが、考えてみればまだ2速には入っている。シフト操作こそできないものの、自走することはできることに気がついた。ここから家まで1時間ほどかかるという事実に目を瞑りさえすれば。
結局のところ軽い絶望感を覚えながら2速ホールドで帰宅にチャレンジ。山を降りて街に出てこれたときには心底安堵したが、そこから先は止まるたびにクラッチを握りっぱなしにするのがつらすぎて左手に限界を迎えた。最終的には信号待ちでエンジンを止めて対処して、どうにか家まで自走することができた。
シフトスピンドルが折れた原因はバックステップにあるのでは?
なぜシフトスピンドルが折れてしまったのか?おそらくだがその原因は、このバイクを買ったときから取り付けられていたBabyFaceのバックステップキットにある。

純正ステップはシフトペダルから伸びるロッドがフレームに開いた穴を通ってシフトスピンドルに繋がる構造になっている。対してBabyFaceのバックステップキットは、リンケージを介してフレームの外からシフトシャフトに繋がる構造になっている。
このため、シフトペダルの力がかかる場所が、純正のときよりも目測4cmほど外側になっている。上下運動を円運動にうまく変換しきれず、シフト操作をするたびにシフトスピンドルが上下にしなり、最終的に破断したのではないか。

破断面も上下にしなったような跡がある。さらにシフトスピンドルが抜けないようにEリングが噛み込む溝があるため、ここは破断しやすくなっていたのだろう。
というか、このバイク買ったときから思っていたが妙にシフトペダルが硬かったし、その上感触もあまり良くなかった。もしかしたら前オーナーが転倒したときにシフトスピンドルが曲がったりしていたのかもしれない。

この問題を防ぐためだろう、BabyFaceではオプションパーツとしてシフトスピンドルホルダーが存在する。確かにここをホールドすればかなりタッチは良くなるだろう。ただこんな小物パーツに1万円は高すぎる。


ただAliExpressで調べると似たような製品が1500~2000円ぐらいで販売されている。これを買うか純正ペダルに戻すかすれば防げた悲劇だったと悔しい。
シフトスピンドル単体の交換は難しい
シフトスピンドル単品の価格は大したことがないのだが、問題はその交換方法。エンジンの分解図を見てみたが、どう考えても全バラしないと交換できないところにシフトスピンドルは存在する。エンジンフルオーバーホールのついでじゃないと交換できない。

実はどうにかして折れたスピンドルを繋げる方法は無いものかと模索し、実際に試してみたが、全くの徒労に終わった。見た目上つながったとしても、そもそもこれが折れてしまうような負荷に耐えられる修理方法が無かった。
というわけでエンジン載せ替えも考えたが、輸入バイクが故に程度の良さそうな中古エンジンが無い。仮にあったとしても現状自宅で載せ替えするのは色々と難しいものがある。馴染みのバイク屋さんにお願いしてもよいのだが、ついでに交換するべき部品や工賃を考えると出費としてはかなり大きい。
うーん、一体どうすれば…。

コメント