数年前から気づいていたのだが、僕のRX-8のラジエーターの下部に本来あるはずの隙間スポンジが吹き飛んで無くなってしまっている。
アンダーカバーとの間に隙間があるとそこから空気が逃げたり、熱風が逆に巻き込んだりして冷却性能が下がるので、純正ではそこにスポンジが貼られている。
実はここのスポンジの有無だけで結構水温が変わるというので、今回は隙間埋めスポンジを復活させていく。
ラジエーターの隙間スポンジを復活させる
現状を確認
まずはラジエーター周辺にアクセスするためにアンダーカバーを取り外す。RX-8のアンダーカバー取り外し方法は↓を参照。
まずラジエーター下側は全くスポンジが残っていない。その昔アンダーカバーの奥からぺろんとスポンジが飛び出してきたので、引っ張って外してしまった。だからここが無いのはわかっていた。
車両右側(運転席側)はスポンジがかろうじて残っていたが、手で触るとボロボロ崩れる状態。もう完全にゴミ。上半分にも貼られているはずだが無くなっていた。
左側(助手席側)のスポンジもほぼ崩壊している。
ラジエーター上部にあったはずのスポンジは完全消滅。
どこを見ても隙間だらけで、これは冷えるわけがないなといった状況だった。崩れているスポンジは全て剥がし、可能な範囲で糊も剥がして、パーツクリーナーでしっかり脱脂しておく。
エプトシーラーを隙間スポンジとして活用
というわけで隙間スポンジを用意する。自動車のほぼ外装と言って良い部分に使うので、耐熱性や耐候性は最重要項目。なのでできる限り信頼できる物を選びたい。
そこで用意したのが日東 エプトシーラーという高機能シーリング材。EPDMゴムが主成分でスポンジ状になっており、耐熱性・耐薬品性が強い上に熱や水や音や振動をシャットアウトするという素晴らしいシーリング材。
今回は幅20mm×厚さ20mm×長さ2000mmのNo.686シリーズを4本購入した。購入時点でAmazonで1本770円と割と安いし、実は他のブランド品より安かったりもする。実際には3本で十分事足りたので、2310円でできる。
スポンジを両面テープで貼るのは難しいことも多いが、これはあらかじめ専用のテープが貼られているので便利。
純正のスポンジは今のボロボロに崩れた状態でも厚み40mmぐらいはあるので、2本を張り合わせて40mm厚のテープを作る。テストピースを作って実験したが、きちんと押さえつけて貼り付ければかなりの強度で接着できる。
あとはラジエーターを囲うようにエプトシーラーを貼り付けるだけ。最初は40mm厚で十分だろうと思いながら作業したのだが、テープも余ってるしどうせならと60mm厚になるように貼り付けた。導風ダクトやエアコン配管はうまく避けながら貼り、なるべく隙間を無くしている。多少分厚くてもスポンジなので押し込めば潰れる。
純正よりもかなり多めに隙間を埋めたので、将来ラジエーターを交換するときなどには非常にめんどくさい貼り方をしてしまったが、どうせそのときには貼り直すのでこれで良しとする。
ラジエーター上部は40mm厚でピッタリ。
アンダーカバーを元に戻すと、これまであった隙間が埋め尽くされたのが分かる。
車両右側はこんな感じで、上の方は60mm厚でしっかり埋められたように思うが、下の方は40mmで十分だった様子。
車両左側も同様。どうせスポンジが潰れるので60mm厚にしといて正解だった。
ラジエーター下部はこんな感じ。RX-8の場合ラジエーターが前傾しているので、余計な厚みのスポンジはアンダーカバーを押し下げること無く、後ろに倒れていくだけ。割といい感じに隙間が埋まってくれている。
実走行テスト
実際に街乗りをしてラジエーター隙間埋めの効果の有無を確認していく。AiM SOLO2 DLを使ってOBD2から水温データを取得しながら、30~40分程度の街乗りを行った。
僕のRX-8は前期だが、諸事情によりSOLO2 DLの設定を後期型RX-8にしているので、表示されている水温の数字自体が正しいかどうか不明なところがある。値の推移や比較として見てほしい。
なお、どちらも気温32℃程度の環境下だったが、同じ道を走ったわけではないので純粋な比較とはいえない。どちらも敢えて渋滞にハマってみたりしている。
隙間を埋める前
隙間を埋める前の最高温度は99℃とかなり高い。85℃前後でしばらく粘ってはいるが(これはRX-8のサーモスタット作動温度が82℃のため)、温まりきってしまうと95℃前後で推移していた。バイパスを60km/h程度で走ると走行風でじわじわ下がって93℃ぐらいまでは行くが、だいたいその辺りが限界の様子だった。
ちなみにエアコンは外気循環だとあまり冷たさを感じられない空気が出てくる。これが嫌で基本的に僕は内気循環を使うことが多い。内気循環ならしっかり冷えるので実用上問題はなかった。
隙間を埋めた後
一方で隙間を埋めた後がこちら。最後の最後は難易度高めの駐車をしたので瞬間的に水温が上がっているが、これは無視してほしい。
エンジンが若干温まった状態からスタートしている違いはあるが、普通に走行している状態で最高水温は91℃と、なんと隙間を埋める前から8℃も下がった。そもそも水温が上がるまでの過程も明らかに緩やか。バイパスを60km/h程度で走ると水温は85℃前後ぐらいまで落ちるタイミングもあった。また距離8000mの場所で水温が91℃から83℃まで一気に下がっているが、これは駐車場でアイドリングを数分間行った時の水温低下。
またかなり嬉しいのが、エアコンの効きが明らかに良くなったこと。外気循環でも実用的な範囲で冷えるようになったので快適そのものだし、内気循環はこれまで以上にしっかり冷える。夏場にこれは嬉しい。
古い車は一度確認してみるべき
というわけで崩れて無くなったラジエーター隙間スポンジを復活させてみたら、水温低下はもちろんエアコンの効きまで良くなることがわかった。大容量ラジエーターや超高性能クーラントなんて比較にならないぐらいの絶大な効果だ。
性能が上がった、というよりも、「元に戻った」という表現のほうが正しいのだろうが、純正以上にしっかりと隙間を埋めたので多少の性能向上もあるかもしれない。15年以上経過した車だとスポンジは確実に崩壊しているだろうから、一度確認してみると良いかもしれない。たった2000~3000円の出費でこの効果が得られるのなら、やらないほうが損。
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