FODSPORTS M1-S PROというバイク用インカムを持ってはいたのだが、ソロでしか走らないので全く使わないし、インカムが付いていると風切り音が鬱陶しくてしょうがないので手放してしまった。ついでにいうと充電端子がmicroUSBなのも鬱陶しかった。

そうしてインカムのないスッキリとしたヘルメットで最近はバイクに乗っていたのだが、ふと遠くにいる友人からツーリングのお誘いがあった。しかもこのためにわざわざインカムを買ったのだという。じゃあ僕も買うしかないか…。
TNICER T2 2025版

今回僕が買ったのはTNICER T2という中華インカム。2023年5月ごろから販売されている様子だが、2025年に取り付けベースにマイクやヘッドフォンの端子が付くようにバージョンアップしたらしいが、それ以上詳しいことは調べていない。なぜなら友人と同じものを選んだだけだから。
購入時点で価格は7300円と、バイク用インカムにしては結構安い方。上位モデルらしき「T4X」がなぜかより安い6000円だったので心惹かれたのだが、他者のレビューを見る限り色々と性能が微妙らしい。接続不良とか有るとめんどくさいので、友達と同じ物を選んでおくのが無難だろう。

ちなみにこのインカム、梱包がかなり凝ってる。経験上梱包が良い商品は中身も良いので期待が高まる。

中身はこんな感じで、インカムの取り付けや充電に必要なものは一通り揃っている。取扱説明書は多言語対応で日本語も有るが、一部中国語フォントっぽいのもあって怪しさは否めない。ただ問題なく読めるし理解できる。
スペック
| Bluetooth | Qualcomm製チップ Bluetooth5.2 |
| 特徴 | スマートDSPオーディオ処理 CVC第12世代ノイズリダクション処理 16K音声帯域幅伝送速度 |
| 同時通話可能人数 | 6人 |
| 最大通話距離 | 1000m |
| 機能 | 高速接続 FMラジオ 音声アシスタント |
| 電話 | 自動応答機能あり ラストナンバーリダイアルが可能 |
| マイク | スマート集音マイク |
| 移動速度 | 最大100km/hの音声通話に対応 |
| スピーカー | 40mm口径のチューニングスピーカー搭載 |
| 防水 | IP67 |
| バッテリー容量 | 900mAh 20時間連続通話 スタンバイ時間:600時間 |
| 充電 | 端子:USB TypeC 充電時間:2時間 |
| その他 | 他社製Bluetoothインカムとの接続と通話が可能 |
スペック的には6人同時通話だったり20時間のバッテリー持ちなどあまり大したことはない。かなり普通。他のTNICER社製インカムにつなげたまま自分のスマートフォンとBluetooth接続することも可能。ただし他社製インカムとは1台しか接続できない。こういうところホントよくないから統一規格にしてほしい。

ちなみに外像パーツが付属しており、白か黒かを選べる。追加料金を出せば赤いパーツも選べる。僕はこの後無難な黒にした。

2025年バージョンなので本体裏に接点がある。当然技適マークも有るので安心。
操作方法

TNICER T2のボタン類は全部で6個もある。どれもカチッとした推し心地で、ボタン一つ一つがしっかり大きいので、グローブを付けていても操作は容易。
電源のオン/オフ
- 通話ボタンと多機能ボタンの同時3秒押し
スマートフォンとのペアリング
- 多機能ボタンの長押しでペアリングモードに入る
- ペアリングモード中にスマートフォンでBluetooth機器を検索すると「Tnicer-T2」が出てくるので、接続する
一度ペアリングすると、TNICER T2の電源をオンにした途端にスマートフォンと接続される。接続性はかなり良さそう。
1台のインカムと接続する場合
他のTNICER T2と接続する場合、以下の方法で接続可能。
- 全てのT2の電源を入れる
- 1台の多機能ボタンを5秒長押し(青と赤のランプが交互に点滅する)
- もう一台の通話ボタンを5秒長押し(青と赤のランプが交互に点滅する)
- 「デバイスが接続されました」のアナウンスが流れ、青いランプがゆっくりと点滅する
- 通話ボタンを短く押して通話開始 ←紙の説明書に記載無し ネット上の説明書にのみ記載あり
最後の「通話ボタンを短く押す」のが付属の取扱説明書に記載されていない。完全にトラップなので注意が必要。
複数台のインカムと接続する場合
複数台のTNICER T2と接続する場合は以下の方法で接続可能。
- 全てのT2の電源を入れる
- 全てのT2の多機能ボタンを3秒長押しする(青と赤のランプが交互に点滅する)
- 任意の1台のT2の多機能ボタンを短く押す。青と赤のランプが交互にゆっくりと点滅し、自動ペアリングモードに入り、「検索」の音声が流れる
- 他のT2が1台ずつ自動で接続され、青いランプがゆっくりと点滅する
もしかしたらこちらも最後に「通話ボタンを短く押す」必要があるかも。2台接続時にはこの方法で接続ができなかったので不明。
マイクのオン/オフ
- 他のインカムと接続された状態で「音量アップボタン」を2秒長押しするとマイクがオンになる
- 「音量ダウンボタン」を2秒長押しすると、マイクがオフになる
試してみた限り、他のインカムと接続した状態でマイクのオンオフはできなかった。同じ方法で操作する「音楽共有」だけがオンオフできる。
FMラジオを聞く場合
- 音量ダウンボタンを2秒長押しするとFMラジオが起動する
- 「前の曲」「次の曲」ボタンを短く押すと選局できる
- 音量ダウンボタンを2秒長押しでFMラジオを終了させる
試してみた限り自動サーチモードは無さそう。「次の曲」ボタンを押して少しすると現在のチャンネルを音声でアナウンスしてくれる。頻繁にチャンネルを変えたい場合には煩わしいが、一度選局を決めて変えないのであれば悪くはない。
PD充電器に非対応なのは注意が必要

充電端子はUSB TypeCで、ゴムカバーが付いている。一部レビューで「付属のUSBケーブルじゃないと端子に刺さらない」という書き込みがあったが、手持ちの適当なケーブルはどれも刺さったので多分そこまで気にしなくていいと思う。

どちらかと言えば問題なのが、DC5V-1Aの充電器を使用することが推奨されていること。いまどきそんな低スペックの充電器なんて持ってない。

しかも試してみた限り、PD充電が可能な充電器を使ってTypeC端子からTNICER T2へ充電しようとすると、全く充電されなかった。つまりPD充電ができないだけでなく、PD充電器に対応していない。
USB TypeA端子からの充電は問題なくできた。僕は最近TypeC端子しかない充電器を持ち運び用にしているのだが、TNICER T2を使う時はTypeA端子がある充電器とケーブルを持っていく必要があるらしい。ちょっとめんどくさい。
取り付け

TNICER T2はベースを両面テープで固定するか、あるいはクリップで固定するかの2つの方法が選べる。僕のヘルメット(SHOEI Z-8)は凹凸が激しくて両面テープで貼れそうになかったので、今回はクリップ止めを選択した。

バイク用ヘルメットに取り付けるために必要なものは全部揃っているので特に何か追加する必要はない。


スピーカーの厚みは悪くないが、マイクが小さい割に少し厚みがあるのが残念ポイント。マイクの取り付け位置によっては唇が触れるか触れないかぐらいの厚みなので、もう少しだけ薄くしてほしかった。また覆っているスポンジも少々安っぽい。

スピーカーは標準的なサイズなのでバイク用ヘルメットにすっぽりハマる。ただもう気持ち直径が小さいともっとすっぽりハマるのにな…という具合。もしかしたらヘルメットによって違うのかもしれない。

もう一つ残念ポイントなのが、スピーカー用の端子が一般的な3.5mmAUXで、かなりサイズが大きい点。これだけデカいと内装の裏に仕込むには大きくて困る。僕のヘルメットには運よく顎紐が出ている穴に結構な余裕があったので、そこに押し込むことで解決した。

あとは配線をうまく取り回せば設置完了。取り付けは一般的なインカムと変わらないので簡単。
Bluetoothでの音楽再生での音質は良好
とりあえず通話する相手がいないので、FMラジオやBluetoothで音楽を流してみた。
基本的にTNICER T2のスピーカーは人の声あたりをしっかり聞かせる音質になっている様子で、特別に音質がいいわけではないが、文句をいうほど悪くない。むしろヘルメット内で聞ける音としては十分良いと思うレベル。響くような低音も伸びやかな高音も有るわけではなく、解像度感が高いわけでもないが、ラジオだと思って聞くにはちょうどいい感じ。
FMラジオの感度はそこまで良くなく、走行中だとかなりノイジー。とは言えパーソナリティーの声は難なく聞こえるぐらい。電波状況の良い場所で停車しているならノイズ少なめで聞こえる。FMラジオ機能に関してはおまけ程度と考えてよいだろう。
スマートフォンからBluetoothで音楽やYouTubeを再生してみると、音質はそこそこ悪くない。音が出ていないときにホワイトノイズが出ているのは気になるが、音楽再生が終わって数秒後には自動で止まる様になっているのでそこまで気にはならない。そもそもバイクに乗っている状況だと周りの騒音が有るのでホワイトノイズはほぼ聞こえない。
ソロで音楽を聞いたり、ナビアプリの音声案内を聞いたりするのには十分だと思った。
TNICER T2同士での通話
実際に友人とのツーリングでTNICER T2を使ってみた。なお友人と合わせて買ったので、友人のインカムも同機種。

1対1での通話
まず接続に関してだが、前日に試してやり方を理解したので、当日朝の接続は割とスムーズにできた。接続方法は少々分かりづらいが、わかってしまえば問題ないレベル。
通話の品質に関してはトランシーバーレベルと言った感じ。過去に所有していたFODSPORTS M1-S PROと大差ないレベルで、会話するには支障が無いが、ノイズは有るので明瞭感は低い。たまに聞き返す必要があることがあった。
ノイズの大部分は風切り音。ただ今回は通話相手がジェットヘルメットだったためマイクが露出していたこともあり、それが原因じゃないかと思われる。でもマイクに風がバンバン当たるような状況でもそこまで耳障りなほど風切り音が乗るわけじゃない。個人的にはこれで十分じゃないかなーといったレベル。
送電距離に関してはそこまで遠くまで離れたわけではないので分からないが、今回のツーリングで途切れることはほとんど無かった。途中リアス式海岸の道を走ったがゆえに間に遮蔽物が入ってしまうタイミングがあったが、そういうときには少し途切れることがあった。ただすぐに復帰するのであまり気になるレベルではなかった。
3台以上との通話
3台同時接続も試そうとしたのだが…友人1名のTNICER T2(旧モデル)がおそらく道中の雨にやられて故障したため、今回は試すことができなかった。何年か前に購入したものだったらしいので古くなったのが原因なのか、それとも防水性に難があるのかは不明…。
丸一日持つバッテリー
バッテリーに関しては余裕で持つ。朝6時から夕方6時まで12時間電源をつけっぱなしで運用していたが、余裕でバッテリーが持っていた。一度電源を切ると再接続がめんどくさいので、つけっぱなしで使えるのは非常に助かる。
デメリット:スマホの音声が入ると会話が途切れる
今回僕はスマホをBluetoothで接続して、ナビアプリの音声を聞きながら友人と会話するようにしていた。これはTNICER T2とあまり相性が良くない。なぜならナビ音声が入る瞬間に友人との通話は一時途切れ、音声終了後2~3秒後に会話が復帰するため。
これはTNICER T2がBluetoothデュアルチップで無いことが原因。TNICER製品であればG1 UltraかT2PLUSを購入すれば解決できるはず。
本体から鳴る風切り音は最小

以前使っていたインカムは、それがあるがゆえに発生する風切り音があまりにも耳障りで耐えられなかったのだが、TNICER T2は風切り音が気にならなかった。もちろんヘルメットとの相性の問題もあるだろうが、左耳元で「ピューピュー」という音が鳴らないだけでかなり快適。この点は素晴らしい。
難点もあるが通話するだけなら十分
というわけでTNICER T2(2025)を使ってみた。通話するだけならこれで十分だし、もちろんソロで音楽を聞いたり、ナビアプリで音声案内を聞くためなら全く問題なく使える。2025年バージョンはベースプレートから単体で脱着できるのは充電時に便利だし、風切り音が少ないのも素晴らしい。各ボタンも大きいのでグローブを付けていても操作しやすい。

一方で付属の紙の説明書では不十分な内容があったり、記載されている機能が使えなかったりしたのは非常に残念。PD充電非対応なのは不便だし、実用していくとやはりBluetoothはデュアルチップのほうが便利なことがわかったり、FMラジオはほぼおまけ程度など、気になる点もちらほらあった。決して今回購入したものが悪いわけではないとは思うが、水没により3台接続が試せなかったのも残念。
個人的な感想としては、TNICER製品から選ぶならあと1500円ほど追加してTNICER G1 UltraかT2 Plusを買うほうが幸せになれる気がする。そういう意味でちょっと立ち位置が微妙なT2だが、まずはインカムを試してみたい場合や、ソロでの運用を考えている人であればオススメできる一台だと思った。


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