スポンサーリンク

サーキットを走るのに車高調は必須じゃない!純正サスで走るべき本当の理由

「友達が車でサーキットを走ってるけど、俺も走ってみたいなぁ」

なんてことを思った時に、何をしなければいけないと思うだろう?

 

「ヘルメットや手袋を揃えなきゃ!」

とても大切。レンタルや友人から借りてもいいけど、装備品は必須。

 

「点検整備して車に問題がないか確かめとかなきゃ!」

実に素晴らしい!車の状態を万全にして自分も周りも楽しめるようにしとかないといけないから、これも必須。

 

「3連メーターつけて車の状態を把握できるようにしないと!」

え?そんなものは要らないよ。

 

「サーキット用のハイグリップタイヤをつけなきゃ!」

待て待て。初心者こそハイグリップなんかいらないから、今ついてるタイヤのまま走りに来てほしいな。

 

「車高調をつけてサーキット仕様にしないと!」

何言ってんの?むしろ純正サスで走ってみなよ。びっくりするほどよく走るから。

スポンサーリンク

車高調なんていらない

断言していい。

サーキットを走るのに、車高調なんて必要じゃない。

だいたい車高調をつければ性能が上がると思っている人がいるが、そんなのは必ずしも正しくない。というかたいていの場合性能は下がる。純正サスはメーカーが作り上げた超万能型サスペンションなので、車高調が勝てる領域はほんのわずかでしかない。

サーキットを走るのに車高調が必要なイメージを払しょくするために、車高調と純正サス、それぞれのメリットデメリットを説明していこう。そして、むしろ初心者であるからこそ純正サスで走るべきだということを理解してほしい。

車高調が優れている点

車高が下がってかっこいい

車高は低ければ低いほうがいいというものではないが、確かに適度なローダウンをされた車ってなんかかっこいい。そもそも本当は2~3cmぐらいローダウンしたフォルムでデザインしてるんだろって思うし、実際カタログ写真を撮るときなどは車内に重りをがっつり積んでローダウンさせたりもするらしいので、自動車メーカーの人も低いほうがかっこいいことは分かっているのだ。

それを実現するには車高調は手っ取り早いし確実。さらに自分のかっこいいと思える高さに調整できる。これは純正サスには不可能な芸当であり、間違いなく車高調のメリットといえる。

脚が硬くてなんかいい感じ

サスペンションの動きが硬くて、路面のギャップとかでバコン!と跳ねたりすると「俺の車弄ってあるんだぜ!」って感じがしてなんかいいよね。わかる。僕は乗り心地悪いのあんま好きじゃないけど。

あと実際サーキット走ると、足が硬いおかげでハンドル切ってすぐに車が向き変ったりしてすっごい楽に走れる感じがする。純正サスで走ったことがある人であればこの差はびっくりすると思うし、実際僕もびっくりした。

いろいろ弄れて楽しい

なんだかんだ言って車好きには「車を弄るのが好き」っていう人種が一定の割合でいるわけで、そういう人にとって車高調は最高の遊び道具になる。なんてったって全長調整式の車高調なら

  1. 車高
  2. プリロード
  3. 減衰

の3点を1円も使わずに何回でも調整できる。スプリングだって購入さえすれば変え放題だし、乗り味だってガラッと変わるのだから、こんなに楽しいことはなかなかない。

セッティングが出れば大幅なタイムUPを叶えられる

自分の車や技量・タイヤ・サーキット・路面状況に合わせてしっかりとセッティングを施したサスペンションが出来上がれば、ミニサーキットであっても純正サスに比べて秒単位でタイムが変わるのは間違いない。実際に僕も上がった。ただし、ポン付けの車高調では全くダメだ。

車高調がダメな点

ポン付けでは基本的にダメ

世の中で販売されているほぼすべての車高調キットは、「とりあえず車高が下がる」ようなパーツ構成で販売されている。汎用のダンパーやスプリングの上下に車に取り付けられるようにブラケットを取り付けただけなので、中には吊るしの状態だと地面に車を置いた時点でバンプタッチ(≒底付き)していて全く走れるもんじゃないものもあったりもする。そうじゃなくてもサーキットを走るような高負荷領域では全く用をなさないものがほとんど。これは車高調キットの値段の高さや知名度に関係ない。なぜなら車高が下がらないとお客の要望に応えられないから。

車高調はあくまで「キット」であって、それをどのように組むのかは使用者に一任されている。なので目的を明確にし、それに合わせて組み方を変えないとといけない。

セットアップが必要

というわけで車高調を正しく使うためには目的に合わせたセットアップが必要になる。サーキットを走る為のそれは例えばバネレートUPだったり、プリロードを掛ける事だったり、バンプラバーの変更だったりする。街乗りからミニサーキットに合わせたバネレートの選定方法は以前書いたのでそっちを確認してほしい。

車高調の各部を測定し、街乗り&ミニサーキットで使えるスプリングを選定する
車高調を購入して早々、車体に組みつけもせずに分解してしまった。それはそう、このBLITZ ZZ-Rがどれほど使えるものなのかを調べ、そして僕が主な遊び場としているミニサーキットをより速く走るために必要なスプリングを選定するためだ! 有効スト...

そうしていざ車高調がまともに使える状態になったとして、あとは車に取り付ければいいだけ、というわけではない。その後は車高の調整を行い、アライメントを整え、減衰を調整し、それでもだめならまた車高から合わせ直し…と果てしないセッティングの迷宮へといざなわれる。確かにセッティングにはある程度のセオリーがあるものの、初心者がこの迷宮に囚われるのは専属メカニックでもいない限り時間の無駄でしかない。それだったらドライビングテクニックを向上させることに時間と金を使うべきだ。

ラフな運転を受け付けない

車高調は純正サスに比べてバネレートは高いしストローク量は短いので、運転に対する許容範囲が狭い。ある程度の範囲内までであれば、止まる・曲がる・進むに大きな問題はないはずだが、その範囲を超えたとたんに全てを裏切ってくる。特に吊るしのようなとりあえず車高が下がればいいだけの状態の車高調がポン付けされている場合、下手な運転どころか正しい運転すら受け付けてくれない可能性すらある。

もちろんこれは正しいセットアップとその後のセッティングによってかなり解消はされる。問題はその正しいセットアップをいったい誰が教えてくれるのかということと、そして本当の目的はドライビングテクニックを向上させたいのか、それとも単に車高調をつけたいのか、という2点にある。ドライビングテクニックを向上させたいのであれば、純正サスで走ることをお勧めしたい。

路面状況によっては純正以下の性能になる

さて、車高調は目的を明確にして、それに合わせた組み方をせねばならないと書いた。例えばドライコンディションのサーキットをハイグリップタイヤで走ることを主眼を置いたセッティングを施せば、純正サスをはるかに凌駕するタイムを刻めるはずだ。

ではその状態でスタッドレスタイヤを履いて雪道を走ったらどうなるだろう?硬すぎるサスペンションは雪道に食い込むどころか反発し、スタッドレスタイヤの性能を生かし切れずにゆっくり走らざるを得ないだろう。

サーキット主眼のセッティングというのは強い縦・横に強いGがかかることを前提にセットアップしなければならないため、そこまで強いGがかからない状況には適していない。雨が降って路面のμ(摩擦抵抗)が下がっただけでも路面状況に対応できる力が下がってしまうため、ベストを目指そうと思ったら雨用のセッティングに変更する必要がある。そんなめんどくさいことはやってられないので、サーキット専用車でない限り、いつでもどこでもそれなりに楽に走れる車のほうがいい。

車高調をつけるのであれば目的を明確に

つまるところ車高調というのは料理で言うところの素材であり、世のほとんどの車高調キットはそのままでは食べられないので、何が食べたいか(=目的)によって煮たり焼いたり蒸したりと調理方法(=セットアップ)を変えねばならない。

サーキットをこれから走ろうとする初心者が目的とすること。それはまず第一にサーキット走行を安全に楽しむこと、そしてその次にドライビングテクニックの向上である。この二つを達成するためには、ややこしい要素をすべて排除し、安心してサーキットを攻めることができるサスペンションが必要。それができるのは純正サス以外にあり得ない。

純正サスが優れている点

メーカーが巨額をかけて開発した全天候型最強サスペンション

純正サスが社外サスと圧倒的に異なる点が、それを開発するのにかけた時間と金。新車開発に5年の歳月が必要なことからもわかるように、純正部品というのはどれもすさまじい時間と労力をかけてテストし、そしてメーカーとして10年10万km+αで使用しても問題がないように設計・製造されている。

さらに自動車を運転する人はプロのレーシングドライバーだけでなく、免許取りたての人から高齢者までさまざまいるため、誰がどのような状況で運転しても問題が起きないように作られている。つまり晴れの日も雨の日も風の日も、タイヤを替えれば雪の日だって、安定して70~80点ぐらいの走りができるように作られている。それが純正サスだ。

サスペンションが対応できる範囲のイメージ
実際の対応範囲というわけではないです

許容範囲が広くドライバーのミスに対処してくれる

F1ドライバーですらミスをしてスピンするのに、初心者がミスをしないなんてありえない。ただしプロと初心者ではミスの仕方が違うし、そもそもミスの原因すら違う。でも初心者が正しくないドライビングをして大きなミスをしてしまうのは単なる知識と経験の不足によるものなので何の問題もない。ただ、そのミスに対して車がどう反応するかは、その車次第になるわけだ。

上にあげたように、純正サスはどんな状況であっても高い安定性を確保できるようになっている。これは言い換えれば、多少の操縦ミスであれば何とか受け流してくれる、ということでもある。純正サスは柔らかくストローク量も多いので、初心者のミスに対して派手なスピンや横転、コントロール不可という反応ではなく、アンダーステアや軽度のスピンモーションという形に抑え込んでくれる。これは許容範囲の狭いサスペンションに対してはるかに安全。

挙動がわかりやすくドライバーに正しい運転をさせる

これまで何度も書いているように、純正サスはスプリングが柔らかくストローク量も多いので挙動が大きくゆったりとしている。ブレーキを踏めば前につんのめり、アクセルを踏めばリアが沈み、ハンドルを切れば切った方向と逆向きに大きくロールする。この大きな挙動はドライバーに今何が起こっているのかをとても分かりやすく伝えてくれる。

コーナーに入る際に、入り口ではブレーキを踏んで前荷重を作り、クリッピングポイントまではその前荷重を少し残したままロールさせ、そしてクリッピングポイントを超えたら徐々にロールを戻しつつアクセルを開けてリア荷重に移す…といった基本的な車の動きが出来ているのか否か。それは挙動が大きければ大きいほど判断しやすい。結果ドライバーは直感的に、今のドライビングが正しかったのか、それとも間違っていたのかを理解することができる。しかも挙動が大きいために丁寧に運転しない限り絶対にタイムが出ない。純正サスの大きな挙動は正しいドライビングの獲得に大いに役立つのだ。

調整できないがゆえにドライバーの運転がすべてになる

往々にして人は自分の無力さを自分のせいにはしたくない。ひとたび車をカスタムしだすと、

「タイムが出ないのは車高調のセットがあってないせい」

「アライメントを調整してないからダメ」

「マフラーを変えてないからパワーが出ない」

とかいろいろ文句をつけだす。そうしてタイムが出ないのを別のもののせいにしている間はドラテクの向上はない。純正サスは車高もプリロードも減衰も調整できないが、メーカーが送りだした最強の万能型サスペンション。これ以上に信頼できるサスペンションがほかにあるだろうか?言い訳をせずストイックに、本当にタイムが上がらなくなるその時まで純正サスで攻め続けて入れば、正しくセットされた車高調を導入したその時に周囲のライバルを凌駕するタイムが刻めるはずだ。

純正サスがダメな点

車高が高くてカッコ悪い

純正サス最大の欠点はここにある。というか、多くのカーマニアは車高が高いのが嫌で車高調に変えるのだから当然といえば当然。なんでドイツ車とかは純正車高でもあんまり高く見えないようにデザインされてるのに、日本車はあんなに腰高感あるデザインしかできないんだろうなぁってのは僕も疑問だけども。

でも車高が高くてカッコ悪かろうがサーキットは走れる。運転席に座ってる限りそんなのわからないから気にしてはいけない。

絶対的なタイムは望めない

もう一度この図を持ち出すが、純正サスは全領域で70~80点を出せるようになっている。逆に言えば、残り20点の領域ではそれ専用に仕立て上げたサスペンションにはかなわない。同じ車種で同じタイヤを履き、適切なセットを施したサスペンションを装着したライバルに純正サスで立ち向かうのは厳しい。

現在の技量と使用目的を明確に

結論:サーキット初心者は純正サスで走行すべし

超万能サスペンションである純正サスは、運転技術を安全・確実・低コスト・短期間で向上させることができる。これは初心者が目的とすべき項目と完全に合致している。サーキット走行を行う目的を見誤ってはいけない。

もちろん、

  • とにかく車高を落としたい
  • 純正サスが抜けて乗り心地が悪い
  • いままでさんざん純正サスでサーキットを走ったのでステップアップしたい

と別の目的があるのであれば、車高調はそれに答えてくれるだろう。所詮車いじりは趣味である。自分が車高調を入れたいと思った時こそ入れ時。ただ、運転がうまくなりたいと願うのであれば、入れないほうがいいかもしれない。

¥3,737 (2024/11/21 15:07時点 | Amazon調べ)

純正サス+ローグリップタイヤでの走行がドラテクを伸ばす

サーキット初心者はハイグリップタイヤを使わないほうがいい6つの理由
車でサーキット走るのって結構楽しいんだけど、初めてサーキットを走る初心者の人にはものすごくハードルが高く感じられるのも事実。実際そんなことないし、フリー走行なら数千円払えばだれでもすぐ走れるんだけど、そこに向けていろいろ準備しなきゃいけない...

コメント

タイトルとURLをコピーしました