MAZDA RX-8のブレーキパッドの交換方法を紹介する。前期・後期・グレードを問わず、純正ブレーキなら方法は変わらない。
なお、ブレーキパッドは重要保安部品なので、交換作業に不安がある方は決して一人では行わず、できない場合は素直に陸運局認定の整備工場にお願いしましょう。
本サイトを参考にした後何らかの事故が発生したとしても、当方は一切の責任を負いません。
下準備
まず準備として以下の工具・用品を用意する。
- ジャッキアップに必要な物(ジャッキ、ウマ)
- ホイールを外すのに必要な物(十字レンチ等)
- 14mmと17mmのスパナ
- ディスクブレーキセパレーター
- ブレーキピストンキューブ
- ブレーキパッドグリス(スレッドコンパウンドまたはシリコングリスで代用可)
- 交換するブレーキパッド
またブレーキフルードの残量を確認する。もしすり減ったパッドから新品パッドに交換する場合にフルードの量が多いと、ブレーキピストンを戻した際にフルードがあふれる可能性があるので、フルードをminの位置ぐらいまで抜いておく。
フロントブレーキパッドの交換
フロントブレーキパッドを交換する。まずはジャッキアップしてホイールを外す。
ブレーキキャリパー裏面にある14mmのボルトを抜く。なお、撮影のためにハンドルを切った状態で作業しているが、実際には直進状態での作業で問題ない。
ブレーキキャリパーを上側へ回転させながら持ち上げて、ブレーキパッドを外す。
外したブレーキパッドがこちら。本来であればブレーキシムが表面にかぶさっているので、それを新しいブレーキパッドへ移植する。
僕の車はシムが朽ちたので入れてないが、ブレーキ鳴きを抑えるためにもあるに越したことはない。
ブレーキパッドを外したら、ピストンブーツの破れや、ピストンピンの動きを確認する。問題が有る場合はブレーキのオーバーホールが必要。
新品ブレーキパッドが入るようにブレーキピストンを戻す。この時ディスクブレーキセパレーターを持っていれば、そちらを使うほうが確実。僕はもっていないので外したブレーキパッドと適当なスパナを使っててこの原理で戻すが、専用工具を使うに越したことはない。そう頻繁に使うものではないが値段は安いので…。
ブレーキピストンが奥まで戻ったことを確認すると同時に、ブレーキフルードのタンクが溢れないかもチェックする。
新品のブレーキパッド背面にブレーキパッドグリスを塗る。グリスはブレーキピストンやキャリパー、キャリパーサポートの金具にパッドが接触する側面に塗ればOK。塗る位置は外したパッドを参考にすると良い。
ブレーキパッドグリスは専用品もあるが、耐熱温度の高いカッパーグリスやシリコングリスでも代用可能。サーキットを走る人はカッパーグリスがいいと思う。今回はパッドに付属していたDIXCEL製のブレーキパッドグリスを使用した。
パッドグリスを塗ったブレーキパッドを取り付ける。裏表や向きに注意。
ブレーキパッドを取り付ける時は、キャリパーサポートの上下にある、ブレーキパッドの位置を決めている金具が脱落しないよう注意する。上側からパッドを差し込むと作業しやすいことが多い。
キャリパーを戻し、最初に外したボルトを締めればOK。ボルトが空回りする場合はスライドピン側を17mmのスパナで抑えて締める。ついでに上部の外さなかった方のボルトもゆるみがないかを確認。最後にホイールを取り付ければ作業完了。
リアブレーキパッドの交換
リアブレーキパッドを交換する際は、まず初めにサイドブレーキを解除しておく。これを忘れるとキャリパーが外せないので注意。
ジャッキアップしホイールを外したら、キャリパー裏面の上側ボルトを外す。
キャリパーを開き、古いブレーキパッドを取り外す。同時にピストンブーツの破れやスライドピンの動きを確認する。
ブレーキピストンキューブ、エクステンション、ラチェットレンチを組み合わせて、ブレーキピストンを締めこむ方向(右回り)に回し、ブレーキピストンを戻す。ピストンキューブの面はピストンにしっかりかみ合うものを選択する。ピストンを戻す際にブーツがねじれすぎる場合には、シリコングリスを少しスプレーすると解消する。
RX-8のリアブレーキキャリパーはサイドブレーキも兼用しているので、フロントとは異なる構造になっている。
ピストンが一番奥まで縮むと空回りするようになるので、ブレーキキャリパーに対して垂直の方向にピストンの溝が向く位置まで回す。この位置が合っていないと、ブレーキパッドに取り付けられている凸にピストンがうまくハマらないので、キャリパーを取り付けられなくなる。
フロントと同様に、ブレーキパッドのキャリパー/ピストンが当たる背面と側面の金具が当たる部分にブレーキパッドグリスを塗る。
フロントと同様に、上下の金具の脱落に注意しながらブレーキパッドを取り付ける。
ブレーキキャリパーを戻す。うまくハマらない時はピストンの戻しが足りないか、ピストンの溝の向きが間違っている。
最後にキャリパーのボルトを締めて、ホイールを取り付ければ作業完了。
最後にピストンを出しておく
作業が完了し車をジャッキから降ろしたら、ブレーキを複数回踏んで手ごたえを確かめる。最初はピストンが押されているのでブレーキが軽く奥まで行ってしまうが、何回か踏めばいつも通りの感触に戻るはず。
作業後にブレーキフルードの量を確認する。多すぎれば減らし、足りなければ足しておく。
ブレーキパッドの交換は慣れれば特に難しい点は無い。しかし、ちょっとした作業ミスによって重大事故に繋がる可能性があるので、必ず一つ一つを確認しながら注意して行う。
コメント
とても参考になります。
ありがとうございます。
1つ質問なのですが、キャリパーを、止める時の規定トルクはありますか?
当然あります。詳しくは整備書をご確認ください。