先日ブレーキローターを交換した際にブレーキキャリパーのダストブーツが破れていることを発見した。というわけでブレーキキャリパーをオーバーホールする。
なお、ブレーキパッドは重要保安部品なので、交換作業に不安がある方は決して一人では行わず、できない場合は素直に陸運局認定の整備工場にお願いしましょう。
本サイトを参考にした後何らかの事故が発生したとしても、当方は一切の責任を負いません。
RX-8のブレーキキャリパーをオーバーホールする
ブレーキキャリパーのオーバーホールのためにはシールキットを用意する必要がある。今回購入したミヤコ自動車のシールキット品番は、
- フロント用:SP-104
- リア用:TP-101
となっている。これは前期後期全グレードで共通。シール、ダストブーツ、スライドピンブーツ、ニップルキャップ、グリスが付属しているので、これさえ買えばオーバーホールできる。
なお、どうもRX-8用のブレーキピストンは単品で販売されていない様子なので、ピストンが錆びてしまっている場合はキャリパーアッシー交換しかなさそう。
便利グッズ「ラインストッパー」
ブレーキオーバーホールをするにあたり有ると便利なグッズを紹介。それがラインストッパー。
バンジョーやフレアナットの部分をパッキンで摘んでおくことでブレーキフルードの垂れ流しを防ぐことができる。まぁ適当なボルトナットでバンジョーを軽く締めておけば済む話では有るのだが、そう都合よく丁度いいサイズのものが有るわけでもないし、なにげに便利なので特殊工具マニアな人にはオススメ。
ただ今回買ったモノタロウブランドのセットだとバンジョー用は一個しかないので、RX-8の場合は一箇所ずつしか垂れ流しを防ぐことができない。しかし一箇所ずつ作業するほうが(迷ったときのお手本が有るという意味で)安全なので、これで良いのかもしれない。
リアブレーキのオーバーホール
サイドブレーキを解除した状態で作業する。
まずはキャリパーを取り外す。ブレーキラインを止めているバンジョーボルト(青)とスライドピンに刺さっているボルト(赤)を外す。バンジョーボルトを外すとブレーキフルードが漏れるので下には受け皿を置いておく。
バンジョーボルトからブレーキフルードがぼたぼたと落ちてくるので、先程のラインストッパーで止めておくと良い。
RX-8のリアブレーキキャリパーはサイドブレーキ兼用型なのでサイドブレーキワイヤーが接続されている。矢印で指している金属の留め具を引っこ抜くとワイヤーを取り外すことができる。
リアブレーキキャリパーが取り外せた。
ブレーキピストンをピストンキューブで回して取り外す。最後まで緩めればピストンが抜けるはず。
ピストンが抜けたらダストブーツを手で引き抜き、シールをピッキングツールや精密ドライバーなどで取り外す。
長年蓄積したブレーキダストが汚いので、この機会に灯油とワイヤーブラシで軽く清掃。このとき絶対にダストブーツのはまる溝より内側にはブラシを向けない。シールの溝が傷つくとブレーキフルードが漏れてブレーキが正常に働かなくなる危険性がある。
拘る人はしっかりマスキングした後にサンドブラスト→塗装するといい感じになると思うが、僕は「どうせすぐ汚れるし…」ということで軽くきれいにするだけにとどめておいた。
汚れがざっくり落ちたら、ピストンが収まる部分に入ってしまったゴミなどをパーツクリーナーやきれいなウエスでしっかり取り除く。
取り外したピストンも点検。今回はシールより内側にサビや傷が無かったので、パーツクリーナーで汚れを落として再利用する。
新品のシールにきれいなブレーキフルード(もしくは付属のグリス)を塗って、シールをキャリパーに装着する。
RX-8の場合シールに向きはない様子だが、向きがあるシールは断面が台形になっているので、底辺(幅が広い側)をキャリパーの奥側に向けて装着する。
ダストブーツにきれいなブレーキフルード(もしくは付属のグリス)を塗り、ピストンにダストブーツをはめて、下の方にずらしておく。ダストブーツをキャリパーの溝にしっかりとはめる。
ダストブーツがきちんとハマったら、ピストンを回しながら一番奥まで収める。この時ブレーキパッド交換のときと同様に、ピストンの十字溝の向きを合わせておく。
スライドピンをキャリパーブラケットから引っこ抜き、ブーツを外してパーツクリーナー等でしっかり清掃。付属のグリスかシリコングリスを塗って、新しいブーツをはめる。
あとはキャリパーを元に戻してサイドブレーキワイヤーを取り付ければリア側の作業完了。ブレーキラインを戻すときにはバンジョーの向き(キャリパーの爪に挟まれる形で取り付く)と、バンジョーを挟み込む形で銅ワッシャーを組み付けることに注意する。
フロントブレーキキャリパーのオーバーホール
ブレーキライン(青の裏)とスライドピンに刺さっているボルト(赤)を外す。フロントブレーキにはサイドブレーキがないので、これだけでキャリパーが取り外せる。
ブレーキピストンを外す際には、バンジョーボルトが刺さっていた穴から圧縮空気を送り込む方法が一般的。もしくはブレーキピストンプライヤーで引っこ抜く。ただ僕のガレージにはコンプレッサーもピストンプライヤーも無いので、パーツクリーナーを使って抜いてみた。
具体的な方法は↓を参照。ノズルにビニールテープを巻いただけ。
これで問題なくピストンが抜けた。
あとは先程と同様にシールの除去、清掃、ピストンのチェックを行う。こちらもピストンには問題がなかったので再利用。
ブレーキフルードを塗ったシールとダストブーツをはめて、
ピストンを奥まで押し込めばOK。フロントキャリパーには囲いがあるおかげでダストブーツが嵌めづらいので、しっかり装着できているかしつこく確認した。
あとはスライドピンを清掃してブーツを交換、グリスアップを行う。スライドピンはブッシュ付きのほうがキャリパーブラケットの下側に付く。
あとは全部もとに戻せばOK。ブレーキホースの突起がキャリパーの凹みにきちんとハマる向きに合わせてホースを取り付ける点に注意。
最後にブレーキのエア抜きを行い、しっかりフットブレーキとサイドブレーキが効くことをチェックしたら作業は完了。
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