バイクのメンテナンスの何がめんどくさいって、チェーンを洗浄するのが手間に感じる。できればチェーンを外してザブンとガソリンの中にでも漬けてしまいたいのだが、なかなかそうはいかない。そもそも(一部の原付を除いて)現在ではほぼ全てのバイクでシールチェーンが使われているので、なかなか洗浄力の強い洗剤を使うこともできない。
なぜガソリンなどで洗えないかといえば、ガソリンによってシールが溶けてしまったり、切れてしまったり、封入されたグリスが流出してしまう恐れがあるため。そうなったらもはやシールチェーンとしての役割は果たせず、最悪の場合チェーンが切れて大怪我を招く。
はぁ…、耐久性に優れメンテナンスフリーに近いシールチェーンとはいえ、どうしても汚れてしまうので洗わなければならないのだが、サクサクっと洗うことは許されないとはこれいかに。汚れたチェーンをちまちま洗うのがさらにめんどくさくなって、そして放置してしまう…。
そうだ灯油で洗ってしまおう
この世の油汚れのほとんどは灯油かガソリンを使えば一撃で落とせるが、両者を比べれば灯油の方が幾分か攻撃性が低い。シールチェーンを灯油で洗うのは本当にダメなんだろうか?ちょっと調べてみると、チェーンメーカーのDIDがこんなことを言っているのを発見した。
Q.
チェーンの洗浄方法は?A.
大同工業株式会社 よくあるお問合せ
チェーンに砂、金属粉などの物質が付着したまま使用した場合、摩耗の助長やチェーン硬直などが発生し寿命が短くなります。このような有害な物質を洗浄で取除いて下さい。洗浄は灯油に浸し、乾燥後十分に給油して下さい。ただし、シールチェーンの場合、灯油でシールが劣化する場合がありますので、10分間以上浸さないで下さい。洗浄液にはチェーン・スプロケットに有害な酸やアルカリあるいはガソリンや高揮発性溶剤などは使用しないで下さい。なお、シールチェーンにはワイヤーブラシを使用しないで下さい。
…つまり漬け置きしなければ灯油でも洗えるのでは???やってみよう。
灯油でシールチェーンを洗ってみる
というわけで灯油をステンレスの容器に入れて、刷毛を用意。DIDも言っているが、シールを傷める可能性があるのでブラシは塗装用などの柔らかい物が良い。
灯油を付けたブラシでチェーンをごしごし。すると気持ちいいぐらい簡単に汚れが落ちていく。これが求めていた洗浄力。
ついでにドリブンスプロケット側も掃除。ネジの固着具合的に今まで誰も開けたことが無かったと思われれるのだが、ヘドロ化して蓄積したチェーンルブが自動注油システムを形成していた。
全ての憎しみを積もらせたような汚れも、灯油を使えば一気に綺麗に。これは気持ちいい。チェーンが錆びてるのはしょうがないけど。
灯油をしっかりとふき取った後はチェーンルブで注油すればOK。今まで経験したことがないぐらいリアタイヤが軽く回って気持ちがいい。
灯油洗浄のデメリット:拭き上げ
ただし灯油のデメリットとして揮発性が低く、どうしても表面に付着したままになってしまいがちなのが扱いづらい。チェーンのコマとコマの間やローラーに残った灯油がなかなか取れないので、ウエスを使って念入りに拭き上げねばならない。拭いても拭いても多少残っているような感じがしてなんだか嫌。匂いも灯油なのでそれなりにある。
この辺りはシールチェーン対応のクリーナーの方が圧倒的に優位。価格的には灯油の圧勝だけど…。
灯油洗浄、アリだと思います
洗浄後何日間か様子を見てみたが、チェーンに特に変わった様子は無し。他にも同じようなことをしている人のブログもあるが、おそらく灯油洗浄は(しっかり拭き上げさえすれば)問題ないようだ。「ぜひやってみて」とは言わないが、これからは灯油で洗っていこうと思う。
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