僕のDaytona675は前オーナーがサーキットを走っていたということもあって、購入時からハイグリップタイヤが装着されていた。
が、実はこのタイヤが結構やばかった。交換したいな~と思っていたら、近年サーキット派にほぼ完全転向した友人が「前に使ってたタイヤ結構残ってるからあげるよ」と言ってくれたので、それに交換する。
実はST600用のBATTLAX RACING R11を履いてた
購入時から装着されていたのはBRIDGESTONEのBATTLAX RACING R11というハイグリップタイヤ。一見するとただのハイグリップタイヤで、溝も十分にあって別にやばくもなんとも無いのだが…、
側面に刻まれる「FOR RACING PURPOSES ONLY」「NOT FOR HIGHWAY SERVICE」の文字。
そう、実はこれ、全日本ロード選手権ST600クラスでワンメイク指定のレース専用タイヤで、正確にはBATTLAX RACING R11(NHS)というモデル。レーシングタイヤなのでサイズ表記もフロントが120/600R17、リアが180/640R17だったりする。普通に市販されているR11とは見た目こそ似ているが、中身は全く異なる。
あまり詳しくない人にはピンとこないと思うが、本物のレーシングタイヤは温度依存性が非常に高く、多分このタイヤは表面温度が70℃位を超えてこないとグリップレベルが上がらない。温まるまでは普通の街乗りタイヤでの雨以下のグリップ力しか無い。
普通に街乗りしているだけだとせいぜい路面温度+αぐらいしか温まらないので、真冬に乗るとグリップ感は完全にゼロ。ちょっとしたカーブで全く曲がらなくてとにかく怖かった。それ以外の季節でも、ただ街乗りしているだけだといつコケてもおかしくないような、薄氷の上を走るようなスリルがあった。
峠道を安全運転しない(比喩)とむしろ安全になっていくのだが、僕は安全運転したいので、このタイヤを早く履き替えたかったのだ。そもそも公道使用不可のタイヤなので良くない。
…と言いつつ、タイヤ交換がめんどくさくて、友人からタイヤを譲ってもらってから少なくとも1年半ぐらいは放置してしまったのだが…。
METZELER SPORTEC M9 RR(中古)に履き替え
というわけで友人から譲ってもらったタイヤに履き替える。銘柄はドイツのMETZELER SPORTEC M9 RR。
よく知らずに譲ってもらったのだが、SPORTEC M9 RRはMETZELERの中でも最上位スポーツタイヤで、真冬の公道からサーキットまで、超幅広い状況でバイクを楽しめるスポーツタイヤらしい。普通に買うと結構高そうだが、かなり状態の良いものを譲ってもらって、友人には感謝しか無い。
サイズはフロントが120/70ZR17、リアが180/55ZR17で、Daytona675純正サイズ。まぁ600ccミドルSSは大体このサイズのタイヤっぽいので、同じようなクラスのバイクだと使い回せて楽ちん。
これが製造年週だとすると2019年製ということになってしまうが、友人は2021年に購入したというので、多分そんなに古くないはず。よくわからない。譲ってもらってから2年近く寝かしてた時点で製造日を気にすると鬼に笑われそう。
自宅で手組みタイヤ交換
タイヤ交換は自宅ガレージで、タイヤも手組みで行った。ST600用のR11はビートは落ちないし外すのは硬いしで、レーシングタイヤな手触りに苦しめられたが、M9 RRは楽勝で手組みできた。これぐらい優しいと助かる。
でもめんどくさいからバイク屋にお願いしたほうが絶対いい。
ちなみに今回手組みでタイヤ交換をするためだけに2×4材を買って木枠を組んだ。17インチホイールだと2×4材を大体42cmぐらいの長さに切って組み合わせると、いい感じにディスクローターを避けながらタイヤの組み換えができる木枠SSTが完成する。
でも次のタイヤ交換がいつかもわからないので、この木枠はしばらくガレージの肥やしになる予定しか無い。
ホイールバランサーを使ってバランス取りもしっかり行う。軽点マークが消えているので適当に組んだのだが、フロントは15g、リアは20gしかウエイトを付けずに済んだ。たまたまなのかバランスが良いのかは不明。
ちなみにこのホイールバランサーも多分8年ぶりぐらいに使った。
M9 RRの溝がいっぱい切ってあるデザインは、ハイグリップタイヤ好きな僕からするとそこまで好きじゃない。でもサイドのロゴがぱきっと見える感じとかは結構かっこいい。
M9 RRのファーストインプレッション
METZELER SPORTEC M9 RRにタイヤ交換したので軽く近所を走って、取り付けに問題がないかどうかを確認してきた。取り付けには問題ないことは確認できたが、同時にとても驚いた。このタイヤ、半端なくすごい。
とりあえず走り出した瞬間から割とグリップしてるし、走り出しから5分と経たずに明らかに温まってる。この時点で街乗りR11の百倍はグリップが高い。
バンクさせる瞬間はフロントが倒れ込むように寝ていくのだが、それに対してリアはどっしりと安定している感じで、このあたりは少しチグハグな印象。でも今までのR11がパキパキ寝ていくだけだったかもしれない。バンクさせるとそこから先はフロントも安定感が高く、なんだかアンダーステアな感じがするのだが、実際にはしっかりと曲がっていくし、別にアンダーでもなんでもない。
車通りが少なく路面も荒れがちな細い山道を走ってみると、日陰ばかりで砂も浮いてるはずなのに、そこにあるのはとんでもない安心感。決して乗り心地の良いタイヤではないのに、しっかりと路面を捉えてるフィーリングが伝わってくるし、実際取れるラインも自由自在。ぱっと対向車が出てきてもスッとラインを変えて避けられる。
決してスピードを出したわけでもなんでも無く、ただ制限速度の範囲で20分ほど走っただけなのに、しっかりグリップが出ていることを表すようにタイヤの表面はテカテカしていた。何だこのタイヤ、どうなってるんだ。
僕はバイクのタイヤはほとんど試した経験が無いし、直近で比較できるのがST600用のBATTLAX RACING R11という特殊なタイヤなのだが、とりあえずMETZELER SPORTEC M9 RRがすごいことだけはわかる。
明らかにグリップが高いのでとにかく安心できるし、その安心はほぼ乗り始めた瞬間からやってくる。温まりの良さが異次元すぎる。気軽にDaytona675に乗れるようになったし、乗っていて不安がないのは単純に嬉しい。タイヤでここまで変わるんだなって改めて思わされた。
@39055km
タイヤ交換作業は総走行距離39055kmの時に行った。
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