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【チェンシコ】あまり手間を掛けずにチェーンを掃除・注油する方法【バイク】

世の中の大半のバイクはチェーン駆動だが、このチェーンはとっても汚れやすいのにも関わらず、汚れると色々と弊害が出てくるという曲者。ある程度の頻度できれいに掃除と注油をして上げる必要がある。

そしてこのチェーンをシコシコと掃除することを、一体どこの誰が名付けたのか「チェンシコ」と言ったり言わなかったりする。なんだかちょっと卑猥な感じのするこの言葉だが、今回は僕なりのチェンシコの方法を書き記しておく。

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チェンシコは宗教

あらかじめ断っておくと、チェンシコは宗教である。

人は各々に信じるものが違うように、人それぞれチェンシコの方法も異なる。何が間違ってて何が正しいとか、そういうことは基本的にない。チェーンをガソリンにドブ漬けするとかそういうことでもしない限り、あなたの信じる方法で行って良い。

チェンシコの必要性

バイクはチェーンを通じてエンジンの動力をタイヤに伝えている。このチェーンは空気中の水分や、地面などから舞い上がった埃・ゴミなどにより汚れが付着しやすい条件にさらされている。

チェーンはほぼ確実に鉄でできているので、メッキされているものであっても錆びる時は錆びる。特に汚れが大量に付着した場合には錆びやすく、最悪の場合は走行中の負荷に耐えきれずにチェーンが切れて大事故に繋がる可能性がある。実際問題として市販車のバイクに使われているような太いチェーンが切れることは早々無いのだが、万が一切れるとその時点で自走不可になるので、レッカー代やら何やらでお金と時間がかかってしまう。

またチェーンに汚れがついた状態で走行を重ねていると、チェーンやスプロケットの磨耗が早くなる。チェーンもスプロケットも消耗品とはいえ、交換は結構高い費用がかかるので、寿命が伸びるに越したことはない。

そんなわけでチェンシコは必ず行う必要のある定期的なメンテナンス項目である。

チェーンへの注油不要説について

人によっては「現代のバイクはシールチェーンだからチェーンへの注油は不要」と主張する人もいる。確かにシールチェーンの場合はピンとローラーの間にグリスが封入されているため、チェーン自体は何もしなくても潤滑されている。

参照:DID チェーンの基礎知識

ただ、チェーンとスプロケットは常に金属同士がこすれ合うので、ここへの注油は確実に行ったほうが良い。バイクではない乗り物だが、僕は過去に注油を忘れてアルミのスプロケットが瞬殺ですり減った経験がある。チェーンとスプロケットの間は確実に注油するべき。

チェンシコの頻度

チェーンメンテナンスの頻度だが、一般的に走行距離が500~1000km毎、あるいは1ヶ月毎ぐらいにやるべきとされている。ちなみに僕の乗っているバイク「トライアンフ デイトナ675」の取扱説明書には次のように書かれている。

チェーンの注油

チェーンは300km 走行する毎に、あるいは雨天時や濡れた路上での走行後は、潤滑注油が必要です。また、チェーンが乾いている時も常に注油してください。

トライアンフ デイトナ675 日本語取扱説明書 102P

さすがに300kmは短すぎるだろと言いたくはなるが、要するに油が切れそうだったり、雨天時などで汚れが付着しやすい状況にさらされた後にはメンテナンスをしましょうという事。

個人的には「ちょっと汚れてきたな~」と思ったタイミングぐらいでやればOKだと考える。極度に汚れる前にメンテナンスしたほうが結果的に手間がかからない。

チェンシコに必要な道具

チェンシコに必要な道具は以下の通り。

まず絶対必須なのがチェーンルブ。ブランドは何でも良いのでとにかくバイク専用品から選択する。オンロード用とかオフロード用とか、ウエットだドライだ、ホワイトだ無色だと色々種類があるが、一般公道を走るだけならチェーンメーカーDIDの純正品を買っておけば間違いない。

チェーンクリーナーも必要。特にOリングチェーンの場合はチェーン内のOリングを痛めないために、バイクチェーン専用品を使う必要がある。こちらも色々種類があるが、好きなものを選べばOK。

チェーンの汚れを掻き取るのにブラシが必要。歯ブラシぐらいの硬さのナイロンブラシなら何でも良いが、3面を一気に洗えるチェーン専用ブラシも販売されている。百均の適当なナイロンブラシでOK。真鍮など金属製のブラシを使うとOリングを痛めるので使ってはいけない。

センタースタンドが無いバイクの場合、あると作業効率が一気に向上するのがバイクスタンド。無くてもできなくはないが、ない場合はかなり頻繁にバイクを前後に移動させる必要が出てきて非常にめんどくさい。チェンシコはメンテナンス頻度が高いので、ぜひひとつ持っておいて欲しい。ただ一般的なバイクスタンドは値段が高いし、何より保管時に場所を取るのが良くない。

チェンシコのためだけなら、スイングアームを支えてリアタイヤを浮かす簡易的なメンテナンススタンドのほうが良いかもしれない。もしくはローラースタンドを使うのも一つの手。どれか一つだけ持っておけばOK。

チェンシコは油汚れを取り扱うので手が汚れる。またチェーンとスプロケットの間に手が挟まれるなどの怪我を防止するためにも軍手やメンテナンスグローブを必ず装着して作業を行う。

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汚れを拭き取るためのウエスも必要。チェーンやスプロケットの凹凸で結構ウエスがぼろぼろになるので、キッチンペーパーなどを使用すると作業効率がかなり悪化する。SCOTT Rags ストロングだといい具合に強くて破れないのでオススメ。もしくは古くなったマイクロファイバータオルなど、とにかく破れにくくて柔らかくて汚れを掻き取りやすい物が良い。

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あと適当なサイズの段ボールがあると、汚れが飛び散らなくて便利。家にある適当な段ボールを用意するだけでOK。

あまり手間を掛けないチェンシコのやり方

チェンシコは真剣にやればやるほど時間がかかる作業。分解作業でもしない限り無限に汚れが湧いてくるので、ある程度適当に、そんなに手間を掛けずにやる方法を紹介したい。

メンテナンススタンド等でリアタイヤが自由に回る状態にしたら、チェンシコを始めていく。

必ずエンジンが停止した状態で作業する。エンジンが動いている状態、またギアが入ってリアタイヤが回っている状態では絶対に作業してはいけない。最悪の場合チェーンとスプロケットの間に指を挟まれて指が千切れる。

これからの作業で使うのはMOTUL C1 CHAIN CLEANMOTUL C2 CHAIN LUBE ROAD。ちょっと高価だが、チェーンルブは400mLサイズの場合は極端に高くはないし、性能も良いのでオススメ。チェーンクリーナーの汚れ落ちは強力だが、ちょっとシンナーっぽい匂いがするのが気になる。汚れを落とすだけなので機能的にはより安価なものでも十分。

見た目が同じ過ぎて間違えそうなのは良くない。

チェーンを掃除する

まずは汚れているチェーンをきれいにする。なお、あまり汚れが酷くない場合は、チェーンクリーナーを使うステップを飛ばしてブラッシングだけにしてもOK。

チェーンの後ろに適当な幅に切った段ボールを差し込む。この段ボールがあることで、汚れやチェーンルブが余計なところに飛び散らないようになる。床も汚れづらくなるのであった方が良い。

チェーンクリーナーをよく振ったら、

段ボールのある範囲のチェーンにチェーンクリーナーを吹きかける。リアタイヤを進行方向と反対側(バックする方向)に回してチェーンを移動させて、汚れているチェーンにチェーンクリーナーを吹きかける。またリアタイヤを回してチェーンを移動させて、チェーンクリーナーを吹きかける……を繰り返して、チェーン全体にチェーンクリーナーを吹きかける。

リアタイヤをバックする方向に回すのは、チェーンとスプロケットの間に指などを挟まれないようにするため。以降チェーンを移動させる時は必ずリアタイヤをバックの方向に回す。

チェーンクリーナーは基本的に「非常に乾きの遅いパーツクリーナー」に近い特性を持っている。吹きかけてから30秒~1分ほど経過すると、汚れが柔らかく落としやすい状態になってくる。

汚れが柔らかくなってきたらブラッシングして、汚れを掻き出していく。チェーンの上下左右にブラシを当てて、チェーン全体の汚れを落としていく。これも段ボールのある範囲で作業すると、周りに汚れが飛び散りづらい。

またスプロケットの歯と歯の間にも汚れが溜まっているので、そこもブラッシング。わざわざここにチェーンクリーナーを吹きかけずとも、チェーンにかかったクリーナーが付着しているのでブラッシングだけで落とせる。

ブラッシングが終わったら、はじめと同じ手順で再度チェーンクリーナーを吹きかける。ブラッシングによって剥がされた汚れがみるみる落ちてきれいになっていく。

最後に汚れとチェーンクリーナーをウエスで拭き取る。スプロケットに付いた汚れも忘れずに拭き取っておく。

チェーンの汚れがおおよそ落とせた。

チェーンに注油する

チェーンがきれいになったらチェーンに注油する。

新しい段ボールをチェーンの後ろに差し込んだら、チェーンルブをよく振る。

チェーンにチェーンルブを吹きかける。後はチェーンクリーナーをかけたときと同様に、リアタイヤを回してチェーンを移動させながら、チェーンルブをチェーンに1周吹きかける。

チェーンルブを吹きかけるポイントは、チェーンのローラー部分やプレートとプレートの間。なので上からチェーン内側に吹きかけるようなイメージで塗布すればOK。

チェーンルブをかけた後はチェーンルブにより作業手順が変わる

チェーンルブによってこの後の作業が変わる。

今回写真で使っているMOTUL C2 CHAIN LUBE ROADの場合は、吹きかけて数分もするとベタベタした状態に乾くので、この後は何もしなくて良い。

チェーンルブによっては吹きかけた後はしばらくオイルが馴染むまで待ち、走る前に余っているチェーンオイルをウエスで拭き取ることが指定されているものもある。

このあたりの詳しい説明はチェーンルブ本体に記載されているので、必ず使用方法を確認して作業を行う。

手間を掛けない最大のコツ

チェンシコに手間を掛けないために行うべき最大のコツは、結局のところこれに尽きる。

  1. そこそこ良いクリーナーを使うこと
  2. 周りに汚れが飛び散らない工夫をすること
  3. 汚れすぎる前にチェンシコすること

特に3つ目が一番大事で、過度に汚れるとその時点で掃除が大変になる。家の掃除でもそうだが、結局定期的なメンテナンスが一番手間を掛けないコツなのだ…。

慣れれば10分 定期的なチェンシコでバイクライフを楽しもう

以上、僕なりのチェンシコの方法を解説した。あんまり汚れていない場合10分もあればサクッと終わる作業なので、作業難易度としてはかなり低い。

  • 普段のメンテナンス時はブラッシングで汚れ落とし+注油で簡単に
  • 数回に一度はチェーンクリーナーを使ってしっかり掃除

みたいな感じで注油だけのタイミングを作れば、より簡単な作業でチェーンやスプロケットの寿命を伸ばすこともできる。チェンシコするとチェーンがスルスル回るようになって気持ち良いし、なんだバイクの走りも軽快になったような気になる。定期的なチェンシコはバイクライフをより楽しませてくれる。多分。

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