フルバケットシート BRIDE ZETA 4を取り付けたので、これをさらに活かすべく6点式シートベルトを装着する。
6点式シートベルトは装着こそ手間だが、サブマリン現象(クラッシュ時にお尻から前に移動して体が潜り込んでしまう現象)を防げるほか、4点式よりも確実に体を固定できるので、安全上のメリットはかなり大きい。
出来ればJAF規定に合わせた取り付けがしたい
出来ればきっちりとしたシートベルト装着がしたいので、JAFの規則(2020国内競技車両規則 第4編 細則)を読んでみた。ざっくりポイントを抑えると、
- 4点式以上のフルハーネス式
- サブマリン現象防止の観点から5点式または6点式を強く推奨
- Y字レイアウトの肩部ストラップは禁止
- 肩部ストラップはクロスレイアウトを推奨(4点式の場合はクロスが義務)
- 車体への取り付け位置は図5の範囲内
- シートがスライドする場合は、どの位置に調整されても図5の範囲内に収まること
- 規定の範囲に装着可能ならば、取り付け穴やボルトは自動車製造者によって設置された位置を変更せずに使用することを推奨
- 新たに取り付け部を増設する場合は、板厚3mm以上、大きさ40平方cm以上の補強版を使用して車体へ溶接固定すること
という感じだった。
…脚部ストラップの固定範囲は、シートレールの調整範囲が200mmぐらいある時点で規定範囲に収めるのは不可能なのでは…?
あと取り付け部増設用の金具を買っておいたのだが、買い足したWILLANSのストレスプレートは面積(約55×55mm)も板厚(t=2mm)も足りてないので、金具が必要な人はサベルトのストレスプレートがFIA準拠品でオススメ。僕のRX-8はレースには出ないので使うけど。
アイボルトもFIA準拠のものを使う。6点式シートベルトを新品で買えば付属してくる一般的な32mm長の物で問題ない。
シートレールと共締めするブラケットはあまり安全とは言えない…かも
ボディに穴を開けたくない人はこのようなブラケットをシートレールに共締めすることで対処もできる。…のだが、クラッシュしたときにはシートレールのボルトにシートベルトが引っ張る力が追加で加わることになり、強度的に十分といえるかどうかはちょっと怪しい。
ファッションで付けたい人ならともかく、シートベルトは安全装備なので、サーキットを走るならきちんと取り付けるほうがいいと思う。
RX-8に6点式シートベルトを取り付ける
実際にRX-8に6点式シートベルトを取り付けていく。取り付けるのはFIA公認のSabelt CCS633UN。
なるべくJAF規定に即した取り付け方をしたいとは言ったが、我が家のガレージでは溶接はできないし、日常使いも考慮したいので、完璧なルール通りの取り付け方法は行っていない。
肩・右腰ベルトのアンカー取り付け
まずは比較的簡単な両肩と右腰ベルトのアンカーを取り付ける。
肩ベルトはリアシートのシートベルト取り付け穴を流用する。まずはリアシートの座面を、膝裏が当たる部分をぐっと持ち上げて外す。
ベルトの根元、そしてシートベルトキャッチのボルトを外す。かなり固く締まっているので、長めのスピンナーハンドルがあると楽に作業できる。
元のボルトをアイボルトに置き換えればOK。アイボルトはモンキーなどを使ってしっかりと締めこむ。
右腰ベルトは、サイドシルにある運転席用シートベルトのレールの根元ボルトを流用する。カバーを外してボルトを外す。
個々のボルトはワッシャーやスペーサーが挟まっているので、元の順番を覚えてその通りにしてアイボルトに置き換える。これでOK。
股・左腰ベルトのアンカーの取り付け
股ベルトと左腰ベルトは、ボディに穴をあけてバックプレートを使って取り付ける。
JAF規定を見る限り、上の写真の青丸部分がおそらく正しいアンカーの位置だと思うのだが、現実的には、
- フロア下にフレームがあって取り付けが不可能
- ボディ形状的にバックプレートの接触面積が十分に取れない
- 運転席のフロアマットを置けなくなる
- シートレールのスライド量が減る
といった問題があった。フロアマットなんて完全なレース車両なら無視していい問題なのだが、僕の車は普段から使っているので、日常使いを考慮して赤丸の位置にアンカーを取り付けることにした。
とりあえずカーペットをめくる必要があるので、センターコンソールを外す。外し方は↑の記事を参照。
センターコンソール側のフロアマットを固定しているピンを、ラジオペンチでつまみながら外す。
シートベルトのレールも邪魔なので、ボルトを2本外して撤去。
サイドシルのカバーや、その下の白いワイヤー固定具、カーペットを止めているクリップなどは全て引っ張り上げれば外れる。
これでカーペットがめくれた。後ろ半分しか作業しないのでこの状態でOK。
フロア下を覗くと、このようにフレームが通っているので、これを上手く避けてバックプレートを固定できる位置に穴をあける必要がある。
で、最初に3mmぐらいの穴をあけて位置を確認したら、11mmまで拡大する。横に空いてる小さい穴は…若さゆえの過ち…。
柔らかいアンダーコートの上からアイボルトを締めても意味がないので、この部分のアンダーコートを剥がす。ドンガラにする人は全部剥がしてしまえばいいのだが、僕はそうするつもりはないので、まずは穴の周囲をカッターで切り込みを入れる。
あとは貫通のマイナスドライバーとハンマーをノミのように使えば、アンダーコートはがしを最小限にできる。
腰ベルトの取り付け位置も同様に、裏面を確認して穴をあける。こちらはアンダーコートが無いので穴をあけるだけでOK。
三か所全部に穴が開いたら、適当なタッチペンで断面を錆止めしておく。
今回はバックプレートは溶接しない(できない)ので、あらかじめバックプレートの裏側にシーリング材を付ける。多めに盛って取り付け時にはみ出るぐらいがちょうどいいと思う。
あとはバックプレートを取り付けてアイボルトを締めこむ。奥の2か所は一人では手が届かないので、家族や友人に手伝ってもらう。
取り付け部を裏から見るとこんな感じ。
あとはカーペットを戻し、アイボルトの位置をカッターなどで切り抜く。最後に取り外したパーツ類を元に戻せば、アンカーの取り付けは終了。
シートベルトの取り付けと調整
シートベルトを取り付けて、長さの調整を行う。長さ調整は、股→腰→肩の順で行うとスムーズにいくような気がする(少なくとも股が最初であることは確か)。股ベルトはシート下にあるので調整が大変。腰ベルトはお腹を引っ込めてどうにか装着できるぐらいの長さにするとちょうどいい。
完了した写真がこちら。バックルの位置も含めきちっと見た目も美しくできた。股ベルトや腰ベルトがシートに干渉することもないので、前後まできちっとスライドできる。アイボルト×バックプレートでアンカーを取り付けただけあって、かなりきつく締めてもびくともしない。
リアシートと肩ベルトの同時装着は難しい
試してみた限り、肩ベルトを装着したままリアシートの座面を付けるのはできなかった。人によっては(製品によって?)出来るらしいが、肩ベルトの装着は簡単だし、アイボルトが刺さったまま座面を固定することはできる。なので僕はサーキットを走る時だけ座面を外して肩ベルトを取り付けることにした。
後部座席のフロアマットは後ろにずらして置けば問題なし。
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