サーキット2日ですってんてん!ATR SPORT 123Sはグリップ走行に使うには耐久性に難がありすぎた

格安アジアンハイグリップタイヤであるATR SPORT 123Sを使った感想をまとめる。この記事を執筆時点での使用期間は4月半ば~5月頭までのおよそ半月、総走行距離は1062kmで、およそ700km時点で前後をローテーションした。サーキット走行はグリップのみ。

タイヤは4本すべてが2017年第29週製造品で、サイズは235/45R17。UTQG表示はTREADWEAR:220、TRACTION:AA、TEMPERATURE:A。新品時の溝は実測で6.1mmだった。

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サーキットでの印象

サーキットでは2回使用した。

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空気圧は温間2.0kg/cm3

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購入当初の記事に書いたように、このタイヤはケース剛性が極めて高いのでかなり低圧で走るのがよかった。試した限りでは2.0kg/cm3で丁度良かったが、おそらく1.9kg/cm3ぐらいまで下げても大丈夫だと思われる。そこまでは試していない。

ドライグリップ★★☆☆☆

ハイグリップタイヤとしての評価すると、期待するほどではない。TSタカタサーキットではKR20Aの時の1秒落ちのタイムしかでなかったし、縦横共にグリップレベルはKR20Aよりも劣る。送料込みでも1本9000円しないという価格を考えれば十分なレベルではあるものの、同価格帯でもっといいタイヤがあるので満足できるものではない。

ウエットグリップ 不明

サーキットではウエットコンディションでの走行を行っていないので、この項目は不明。ただ、同じブランドから発売されているATR SPORT2や、ATR-K Sportはレイングリップの高さが光るので、123Sもある程度期待できるのではないかと思われる。

熱入りの早さ★★★★☆

気温25度前後の陽気のなかでは、計測一周目からガンガン走ることができたので、熱入りは早く不満はない。冬の寒い日だとどうなるかは不明。

熱ダレ★★★☆☆

アジアンタイヤなのでこの項目に関しては強く期待はできないが、少なくともTSタカタサーキットで計測2周目まではアタックすることが可能。1周しか持たないKR20Aに比べるとかなりマシなレベルではある。その後の熱ダレもガツンと来て、タイムで言えばコンマ3~4は平気で落ちるが、別に極端に乗りづらくなったりはしない。また、一度常温まで温度が落ちれば再び2周はアタックできる。

操縦性★★★★★

これがなんだかとても運転しやすい。絶対的なグリップは大したことがないくせに、ハンドルを切った瞬間にスッと向きが変わるので、グリップしているような手ごたえを感じさせてくる。縦横共に癖のないフィーリングだった。グリップは高くないので限界を超えれば前後ともに流れるのだが、その流れ方は非常に穏やかなので四輪ドリフトで走れる。というわけでドリフトタイヤとしてはとても優秀だと思われる。

とはいってもケース剛性が高いタイヤゆえに、しっかりとタイヤを押し付ける運転は要求される。適当にハンドルを切っても勝手には曲がってくれず、トレッド面をむやみに削るだけになるだろう。ってかそうなる。

耐久性☆☆☆☆☆

耐久性は本当に不満、というか、ショックを感じたぐらい減りが速い。上の写真は、2回目のサーキットとなったはだし天国を走った直後に撮影したもの。この時点で左前のタイヤについてはすってんてんになってしまっていた。これはTSタカタサーキットで車を人に貸したのだが、その人がハンドルで曲げようとする走り方をしてタイヤを削ってしまったのも影響としては大きい。とはいっても他のタイヤも特に内側の消耗が激しく、どのタイヤもスリップサインまで到達している。コンパウンドが溶けてグリップするタイプの正統派ハイグリップタイヤということは走ってすぐに理解できたものの、サーキット専用として使うにしても消耗が激しすぎる。サーキットでの走行距離は合計でも70kmもないぐらいだった。

街乗りでの印象

1000kmの街乗り走行の内ほぼ全域が高速道路での走行となった。

ドライ性能★★★★★

どれもそうだとおもうけども、ハイグリップタイヤを街乗りに使ってドライ性能で文句をつける人がいたら、その人はだいぶ頭がイカれている。ということでここは満点をつけるしかない。

レイン性能★★★★☆(参考)

はだし天国からの帰りに、高速道路を走行中に割とがっつり雨が降ってきた。はだし天国で走行後に前後をローテーションし、最もすり減ったタイヤを左リアにもっていったので少々不安はあったものの、実際には全く挙動に不安定感を感じさせないまま家まで到達することができた。ATR-K Sportもあの見た目にして雨でも結構食うし、やっぱりATRブランドのタイヤは雨に強いのかもしれない。ただ、使ったのはそれだけなので評価するのに十分だとは言い難い。

静粛性★☆☆☆☆

うるさい!事実としてもっとうるさいタイヤはあるものの、この123Sもその例に漏れず、特に高速道路ではウォンウォンと唸る音が車内に響いてくる。おそらくマフラー交換をしている車でもそこそこ気になれるレベルだと思われる。少し荒れた路面を走るとすさまじい音がタイヤから響いてきてかなり不快。溝が減ってきた後はさらにすごい音になる。

乗り心地★★☆☆☆

運転者的にはタイヤの剛性感が高いのでハンドルなどは分かりやすくていいのだけども、同乗者にとっては快適なタイヤではない。もちろん僕としては格安ハイグリップタイヤにそんなものを求めていないので関係はないのだけども。また少し直進安定性が低く、極端ではないものの路面の轍にハンドルを取られることがあった。ハンドルを切った瞬間にスッと向きが変わる応答性の高さがあだになっているようだ。

耐久性 不明

サーキットで走ったらあれよあれよという間に溶けてなくなってしまったので、街乗りでの耐久性の一切は不明。摩耗のほとんどはサーキット走行によるものだったが、TREADWEAR220の値を信用するのであれば、街乗りではKR20Aよりも耐久性は高いはず。

耐久性に難がありすぎるけど、ドリフト用としてはアリかもしれない

まさかこんなにもすぐになくなるとは思いもしなかったのでショックが大きい、というのが正直な感想。KR20Aほどの耐久性は期待していなかったが、最低でも半年ぐらいは使いたかった…。

グリップレベルも期待したほどではなく、その耐摩耗性の低さから言ってもハイグリップタイヤとしては完全に時代遅れのタイヤとなってしまっている。日本では2009年ごろから売られているのでとっくに時代遅れなのは分かってはいたのだけども、それでもやっぱり残念だと言わざるを得ない。

街乗りタイヤとしては主に静粛性の問題が大きくとてもオススメできない。少し変わったサイズを取り揃えているので、人と違ったタイヤが履きたいという街乗りユーザーならアリかもしれない。

と、酷評してきたがいい面もある。まずは熱ダレ性能は(アジアンハイグリップとしては)そこそこ悪くないレベルだということ。低圧で運用できる高剛性さがいい方向に働き、少なくともアウトラップからハイペースで走っても、TSタカタサーキットを計測2周まではアタックすることができる。これは夏場は1周しか持たないKR20Aに比べればだいぶマシ。また操縦性、特に流れ出してからの挙動の安定感が素晴らしく、突然グリップが抜けるようなことはなく四輪ドリフト状態で粘り続ける。僕はドリフトをほとんどしないので正確には分からないが、おそらくドリフトのリアタイヤに使うと素晴らしいコントロール性能を発揮できるのではないかと思われる。練習で使うには消耗が激しすぎるので大会用に使うといいかも。

以上よりATR SPORT 123Sは、値段は安いがグリップ力は微妙で、グリップ走行で使うには耐久性がきわめて悪いためコストパフォーマンスは最低レベルだというのが僕の結論となった。グリップ走行が主な僕としてはもうこのタイヤを買うことはないだろうが、ただドリケツタイヤとしてはすごくよさそうな感触も。ドリケツタイヤをお探しの人は一度試してみてはいかがだろうか。