車高調に組み込んでわずか4か月で5mmもMAQSスプリングの自由長が縮んだ、という話はちょうど半年前にしたばかり。ただ、大幅に縮んでいたのはリアだけで、フロントはほとんど変化がなかったという話もした。
それ以来サーキットで遊んだり整備したりするタイミングでヘタリをチェックしていたのだが、リアだけがどんどん縮み、そのたびにプリロードを調整し直すのがとても面倒に感じていた。そもそもなんでこんなにリアだけヘタるんだ。MAQSのスプリングは安くていいけど、やっぱり安いなりのものなのかな…ほかのメーカーのに変えようかな…と思いながらも、なかなか変えないまま月日は過ぎていった。
そういえばヘタリ保障があるじゃない
どのメーカーにしようかなぁ…やっぱKYBかなぁなんて考えていたのだけども、ふと思えばMAQSにはヘタリ保障という保証制度が存在していた。自由長が3年以内に3%以上縮んだ場合、新品と交換してくれるらしい。ちょっと問い合わせてみるか。
先にスプリングを送ってくれる神対応!
でも正直保証を使うのはめんどくさいなぁと思っていた。なぜなら
- 今ついているスプリングを外す
- 別のスプリングに付け替える
- ヘタったスプリングをMAQSに送る
- ヘタリが認定されたら新品が送られてくるのでそれを付け直す
なんてプロセスが必要だと考えていたから。それって何日かかるんだろう。MAQSにスプリングが届いてから1週間ぐらいは検査に掛かるとしても、なんだかんだで元の状態に戻すまでに早くて2週間はかかりそう。その間吊るしのバネをつけておくしかないし、めんどくさいことこの上ないなぁ…。そもそもこの手のアフターパーツは売りっぱなしが基本なので、保証なんて本当にしてくれるのか?
なんて思いながら、「スプリングが3%以上ヘタったので交換してほしいのだけども、そちらにスプリングが到着してから新品が送られるまで、およそ何日ぐらい必要ですか?」という旨の問い合わせをしてみた。すると即座に返信があり、そこにはこのような話が書いてあった。
ヘタリが発生して申し訳ございませんでした。保証交換として無料で交換させていただくので、
- ヘタリが分かる写真(スプリングにメジャーを当てている等の長さがわかるもの)
- 保証書の写真
- 届け先
をお知らせください。当社より前もって交換商品をお送りいたします。返品用伝票を同梱するので、お手数ですが不良品はご返送ください。
※メールから抜粋・要約
何だって?ヘタってることがわかる写真と保証書の写真さえメールで送ってしまえば、事前にスプリングが手元に届くだって?マジかよ凄いな。
問い合わせから3日後に新品が発送された
さっそく半年前に撮影した写真と保証書の写真を添付しメールで送信。すると即座に商品を送るという返答があり、結局最初の問い合わせからわずか3日後には交換商品が発送された。凄いスピード感だ。
新品スプリングに交換する
というわけであっという間に保証交換用の新品スプリングが到着した。もちろん到着したのは、これまで使ってきたものと同じID62-63 150mm 8kgf/mm。相変わらずオレンジ色が鮮やかでかっこいい。
さっそくスプリングを入れ替えていこう。RX-8のリア車高調の取り外し方は以下を参照。
車高調を取り外すと、これまで何度かプリロード調整を行ってはいるものの、そこからさらに縮んでしまったためにスプリングがわずかに遊んでいた。
ここからスプリングを入れ替えるのだが、その前に前後の車高バランスを変化させないために全長を測定しておく。
そして車高調を分解してバネを取り外す。ついでに車高調の状態をチェックしたが、去年の9月から10か月使用したBLITZ ZZ-Rは全く問題がなかった。車高調の分解方法は以下を参照。
あとはさくっと新品スプリングを組み込み、プリロードや全長を調整して、
車体に組み込んだら作業終了。
作業時点での走行距離は129616km。車高調を組んだ時は120287kmだったので、ヘタったスプリングは9329km走ったことになる。
外したスプリングは7mm縮んでいた
外したスプリングの自由長を測ると、左右ともに143mmという結果に。保証交換用に届いた新品の自由長は153mmだったので、これも元々同じ長さだったとすると10mm縮んだ計算になる。
並べてみると明らかに短くなっているのが一目瞭然。
細かく見ていくと、巻き始め・巻き終わりの部分には線形密着したと思われる跡が付いているが、それ以外のところにそのような跡はなかった。密着した箇所以外に塗装が剥げた・傷んだところはなく、使用に伴う汚れこそあれオレンジ色の美しさは新品同様であったことには驚いた。
これまで製品本体に不良があった事例はないらしい
ちなみに、問い合わせ時にMAQSはこのような話もメールでしてくれた。
- MAQSでは完成前の全ての商品において荷重テストを実施し、規定の荷重を満たす製品であることを確認しています
- ヘタリを防止するために予め最大使用荷重以上の荷重を掛け弾性限界値を高めているためヘタリに強い商品になっています
- 年間3~4件程度の頻度でヘタリが発生したとの問い合わせがあるが、製品分析しても全てが最大許容ストロークを超えた使用によるヘタリでした
- 今回の商品が不良であった可能性はあるのでもちろん調べてみないと分かりませんが、仮に商品以外に原因があった場合は再度ヘタる可能性があるので、その時はレートアップ等の対策を検討してください
※メールより抜粋・要約
僕は車高調の有効ストローク長から計算してレートを決定したのだけども、確認してみたところ、
- 車高調の有効ストローク長:67.5mm
- 当該スプリングの最大許容ストローク量:84.6mm(MAQS 製品リストより)
であった。67.5mm以上ストロークした場合はバンプラバーが受け持ち、そしてBLITZ ZZ-Rのバンプラバーはそこそこ硬質なので、さすがにそこまで縮むとも思えないし、実際そこまで線形密着した跡はスプリングになかった。
車高調の有効ストロークのほうがスプリングの許容ストロークよりも短いので、それが原因でヘタるとは考え難いとの話を、保証品が発送される前にMAQSに伝えてある。とりあえずはヘタったスプリングを向こうに送り、報告してくれるという検査の結果を待ちたい。→報告されました
ますます好きになった
MAQSのスプリングが安いのはもちろんとして、塗装の鮮やかさや精度の高さ、直巻きスプリングとして不満無く使用できる性能にはとても満足していた。ヘタるのは気になっていたが、それはリアだけというのは不思議に思っていた。今回保証を使ってみて、そもそもアフターパーツである上に、他社に比べて低価格であるにも関わらず、ここまで真摯で丁寧でスピード感のある対応をしてくれるとは正直思ってもみなかった。セッティングを変更するときにはまたMAQSのスプリングにしたいと思わせてくれる出来事であった。
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