RX-8はたった二つのマウントだけでエンジンを支え、ミッションマウントは無くPPFによってミッションとデフが接続され、デフは2点でメンバーに固定される構造になっている。ドライブトレインで車体に繋がっているのは、エンジンマウントとデフマウントだけなわけだ。この構造ゆえ、ひとたびエンジンマウントが壊れると特にアイドリング時にそこそこの振動が車内に伝わって、同乗者に「車壊れてるよ」と言われてしまう。
例に漏れず僕のRX-8もエンジンマウントが壊れていて、同乗者に文句を言われることがちょくちょくある。そのたびに「これがロータリーの”鼓動感”だ」と言ってごまかしていたのだけども、僕としても別に鼓動感なんて感じたくないので、重い腰を上げて交換することにした。
RX-8のエンジンマウント交換方法
交換時に必要な純正部品
なにはともあれエンジンマウントを交換するので新品のマウントが必要なのだが、それに伴ってネジやナットといったショートパーツも用意するほうがいい。値段は安いし、その方が安心だし、後述の理由で今ついているものがダメになっていることがある。必要なパーツと純正品番は、
- エンジンマウント(右):FE05-39-040A ×1個
- エンジンマウント(左):FE05-39-050A ×1個
- ボルトフランジ:9978-41-030 ×2個
- ナットフランジ:9994-01-001S ×2個
- スクリュー:9973-01-025 ×2個
ちなみにこのエンジンマウントの品番はマニュアル車用。オートマ車用はちょっと柔らかいらしい。
他には工具類として、
- ラチェット
- 14mmディープソケット
- 14mmソケット
- 12mmソケット
- ラスペネ等の潤滑剤
- ジャッキ
- ウマ
などが必要。
マウントの取り外し
まず最初にフロントをジャッキアップして、前二輪を浮かせ、ホイールを外す。
タイヤハウスの奥にゴムのカバーがある。赤矢印側のクリップを外すか、あるいは適当にカバーを引っ張って片方の固定を外し、カバーを適当によけておく。またアッパーアーム根本に固定されているブレーキホースも作業の邪魔になるので、赤丸のネジを外してフリーにしておく。
すると奥にエンジンマウントが現れる。このマウントは3点で固定されている。全て14mmのソケットで外せるのだが、短いボルトとナットはディープソケットが無いと作業できない。また要注意ポイントとして、運転席側のナット固定部分は、エキマニからの熱害によってメンバーから生えているボルトが錆びているので、外すのが非常に難しい。ねじ山がボロボロなのでナットを舐めてしまう可能性がとても高い(実際舐めた)。場所的に作業性も悪い。事前にラスペネなどをしっかりと浸透させておくとよいが、無理せずプロに任せた方が無難。
エンジンマウントの固定を緩めたら、下からジャッキでエンジンを支える。当て木をしてオイルパンを支えるのが正当なやり方らしいが、当て木が無かったことと、万が一オイルパンを潰してしまったら洒落にならないので、僕はミッションをジャッキで支えた。
あとはミッションごとエンジンを持ち上げると、エンジンマウントがフリーになる。後ろ側を引っかかりから外し、そのあと前側をネジから抜く、という順番で作業すると、エンジンマウントが外れる。
新旧マウントの比較
閑話休題、新旧エンジンマウントを見比べてみる。
取り外したエンジンマウントがこれ。運転席側のマウントは完全に裂けてしまって、分離する一歩手前だった。助手席側の方はぱっと見綺麗に見える。
が、新品(右側)と比較すると高さがこんなに違う。測定はしていないが、5mm以上は確実に縮んでいる。
ちなみに新品は「MT」の文字が大きくなっていたりとマイナーチェンジされていた。何となく新品の方がゴツイ感じがする。
新品マウントを取り付ける
新品マウントを取り付けるのだが、その前にまず、運転席側のメンバーから生えているボルトにダイスを通して綺麗にしておく。とにかく錆びていてネジ山が汚かったので、この一手間をやっておかないと新品のナットを破損させてしまいそうだった。
またすべてのネジやナットにはカッパーグリスを塗ってカジリ防止をしておいた。頻繁に取り外すなんてことはまずありえないのだが、錆防止も兼ねて…。
ちなみに、エンジンマウント上部に差し込む長いボルトが上の写真の左側の物。先端がとがっている短いボルト(写真右)がメンバー後ろ側を固定するボルト。
あとは新品のマウントをメンバーに置き、ボルトやナットを差し込めばOK。ただし、この時ジャッキを使ってエンジンを適当な高さに保持しないと、ちょうどいい場所にネジ穴が来ないので、ジャッキを微調整しながら行う。左右すべてのネジとナットを手締めしたら、ジャッキをおろし、工具を使って本締めする。最後にゴムカバーを元に戻せば完成。
@146461km
作業は総走行距離146461kmの時点で行った。14万kmも走ればそりゃエンジンマウントはとっくに壊れてるよね。
びっくりするぐらい振動が無くなった
エンジンマウントを交換したら、セルモーターを回した時点で違いがはっきりした。これまでエンジン始動時にはエンジンが大きく揺れて振動が伝わってきたのだが、それがほぼゼロに。アイドリング時のブルブルも無くなり、走行中にミッションが振れる量も激減。もはや”鼓動感”なんてどこにもなく、快適そのものだ。
ちなみにRX-8の純正エンジンマウントは液体封入式で、強い衝撃を受けると瞬間的に硬くなる性質(ダイラタンシー)を持っているらしい。そう考えると、サーキットを走るからと言って強化マウントやリジッドにする必要はないのかな~なんて個人的には思っている。こっちの方が確実に快適だし…。
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