2021年7月からRX-8に使い続けてきたエンジンオイル、Daytona Pro Spec ZR-25(T3R SP2)のレビューを行う。
Daytona Pro Spec ZR-25:7.5W-25の特殊粘度なレーシングオイル
Daytona Pro Spec ZR-25は中国興業株式会社という独立系潤滑油メーカーの製造するエンジンオイル。Daytona Pro Specシリーズは四輪車用としては3種類があり、それぞれ
- ZR-25:7.5W-25
- ZR-40:12.5W-40
- ZR-55:15W-55
という粘度を持つ。どうも低温側が0Wじゃないというところがこのオイルのミソらしく、あえて省燃費性能や冷間時の始動性を無視してでもレーシングオイルとしての性能を追求している。
いづれも規格はSMグレードで、フルシンセティックノンポリマー(全化学合成)。メーカーの公表する代表的な特性は以下の通り。
ちなみにだが、僕の使っていたZR-25はT3R SP2という顔なじみの人が作っている特注仕様で、過走行な僕のRX-8向けに添加剤を色々とチューニングしてあるらしい。でもベースオイルの性能は変わらないと思うので、ZR-25のレビューとして見てもらって大丈夫なはず。
発熱が低く、連続周回しても熱ダレしない
街乗りの話は特にする気がないが、正直な話よくわからない。始動性も普通だし、特別エンジンがヒュンヒュン回るとかそういうイメージも街乗りだとあんまり無い(RX-8には基本的にちょっといいオイルしか使わないのもあるが…)。耐久性に関しても3000km以内で交換してしまうのではっきりとはわからない。
ただサーキットに行くと「このオイルは半端ない」と思わされる。
まずエンジンの発熱量が見るからに減る。僕のRX-8には後付メーターが無いのだが、OBD2経由で水温は測定している。この水温が明らかに下がるのだ。
通常RX-8でサーキットを走れば水温105℃超えは当たり前で、クーラントが少し吹いてしまうことは割とある。のだが、ZR-25を入れると冬場(外気温10℃以下)は水温92~93℃、真夏(外気温30℃オーバー)でも水温102℃ぐらいまでしか上がらない。
もちろんオートポリスのような国際サーキットは速度域が高い分だけ冷却時間が上がるので、水温が下がりやすい。ところがミニサーキットを走ったときもこの結果は変わらず、外気温20℃程度の環境でもMAX水温は102℃。基本的には100℃前後で推移していた。
これはオイルの潤滑性能の高さ故に、エンジン自体の発熱量が下がっているのだろう。熱ダレしないおかげで潤滑性能が常に高い水準で保たれるので、連続周回してもエンジンパワーは全く落ちない。
そうやってサーキットをガンガン走った後のオイルを抜いてみても、黒くなっているだけでシャバシャバした感じは殆どない。何なら新油と変わらないのでは…?と思う事さえあった。
ちなみにZR-25を入れた後のサーキット走行では雨と真夏日を除いて全て自己ベストを更新している。様々な要因があるので一概には言えないが、高温側も比較的柔らかいので高回転までよどみなく回してくれるこのエンジンオイルが、タイム更新に一役買っていることはまず間違いない。
問題は価格
性能に関しては正直文句のつけようがなく、これまで使ってきたエンジンオイルの中で最高と言っても過言ではない。
そんなDaytona Pro Spec ZR-25最大の問題は価格。はっきり言って高い。まぁ他のレーシングオイルやショップ系チューニングオイルと変わらないどころかちょっと安いぐらいなのだが、絶対的な価格で見るとどうしても高い。近年の値上がりのせいで2023年4月時点では20L缶で5.2万円と、気軽に買う値段じゃなくなってきた。
また売っているところも限られるし、何故かメーカーもあまり広報していないのでどんなオイルなのかよくわからないのも良くない。普通の人はこんなオイル選びにくい。
間違いなく最強スペックのオイル
エンジンオイルのレビューなんてエンジンを開けてみないとわからないのだが、Daytona Pro Spec ZR-25はサーキットを走ってはっきりと違いを感じ取れるし、それが数値にも現れてくる。
高い潤滑性能は確実にエンジンの摩耗を防いでくれるので、長い目で見ればオイルの高いコストもエンジンメンテナンス費用でペイできるはず。
コメント
A.S.H.も使ってみてほしい