先日、某YouTuberが「nut屋(に限らず中華系粗悪品の)のホイールナットは精度狂いまくりで危ない!」という趣旨の動画をアップロードして話題になっていた。歯に衣着せぬ物言いと計測で説得力はあるし、これを見ると僕のように実際にnut屋のホイールナットを愛用している人は不安になる。
対して、僕はnut屋のホイールナットを10年以上愛用してサーキットなどをガンガン走っているが、これまで一度もなにか不安に思ったことはないし、ホイールナットが緩んでいたり、当然ホイールが外れたような経験もない。「この話は本当だろうか?」と疑う部分は当然あるわけで、今回はそれをチェックしていく。
nut屋のホイールナットは本当にやばいのか?
というわけで2023年3月に購入してから約1年半使ってきたnut屋のタイプRR 48mmナットを見てみよう。動画の内容によれば、粗悪品のナットは
- 見るからに表面処理が荒い
- テーパー部分やネジの芯がズレてる
- そもそもネジ山がきちんと切られていない
- 締めていく時の感触が悪い
- 塗装が弱くて速攻で錆びる
- 最悪ハブナットを痛めたりナットやホイールが脱落する
という問題があるとのこと。できれば手持ちのナットを計測器で調べていきたいところだが、そんなものは持ってない。
僕の手元にあるnut屋 タイプRRは、動画で登場したものとは異なり、届いた段階では表面処理は非常に綺麗でツルッとしていた。ただその前に使っていたタイプAに比べると明らかに塗装が弱く、結構ボロボロと剥がれてみすぼらしいところは事実ある。この点に関しては気づいていたが、個人的には実用上問題にならないのであまり気にしていない。
「速攻で錆びる」という点に関して、確かに塗装が剥がれた部分に多少のサビは浮いている。でも塗装の下までサビが進行してぶつぶつになる、みたいなことは全く無い。別に雨天走行後や洗車後に濡れたまま放置してても特に何かが起こったこともない。というか鉄製なので多少錆びるのはしょうがない。
手でハブボルトに入れていくとなんか渋い、みたいなことは全く経験したことがなく、スルスルと入る。ホイールに着座してからなんか感触が悪い、みたいなことを感じた記憶も無し。改めて手で回してみても特にそんな印象は無かった。
ホイールとの当たり面も、一番状態が悪そうなところをピックアップしてきてもこの程度。ものすごくきれいに当たっているわけではないが、明らかにおかしいと言えるほど変には見えない。
こういっては何だが、そもそもホイール側のテーパーの精度がどうなのか?とか、ホイールとナットの間にゴミが噛んでたりしないのか?とか、様々な要素により当たり面の平滑さは変わってしまうので、多少はザラザラするものだろうと思っている。
実際にこのホイールナットはサーキットでもガンガンに使っているし、当然緩んだりした経験は無し。
極稀に「走った後にトルクチェックするとさらにナットが締まる!これはおかしい!」という人がいるが、アルミは鉄に比べて低い温度でも柔らかくなりやすいので、走行直後の加熱された状態だと余計に締まるのは世の常。それはホイールナットの問題ではない。十分に冷えた後にトルクチェックすればいいだけ。
少なくとも僕のナットに関しては問題なさそう
めちゃくちゃに少ないサンプル数と、僕の経験や感触に限った話で言えば、
僕の手元にあるナットに関しては大きな問題はないだろう
という結論に至った。実際に実用していて塗装の弱さ以外に気になるところが一つもないのだから、そうとしか言いようがない。
ただ一つだけ、11年前に購入したものに比べて塗装が弱いのは実感している。製品価格を維持するためにコストダウンさせていった結果、徐々に塗装が弱くなっているのかもしれない。もしかすると他の種類のナットや、現在販売されている同形状のナットは表面処理や芯ズレなどの問題があるのかもしれないが、それは買ってみない限りわからない。動画に寄せられたコメントを見てみる限り、2~3年ぐらい前から粗悪品が混ざり始めているようにも見えるが、流石に確認のしようがない。
nut屋は信頼できるホイールナットだと僕も思っていたが、もしかすると現在はそうではないのかもしれない。動画の内容の全てが正しいと素直に受け取るかどうかは人次第だが、僕は動画内で何故か最も狂ってそうなナットをあえて計測いない点など不自然な部分が気にならなくもない。ただ、中華ナットがおかしいとの声がコメント欄で多く寄せられているのも事実としてある。
nut屋のナットがもし改悪されているのであれば、ぜひ改善して欲しい。安価でレーシングナットが割といつでも手に入るnut屋の存在は、僕のようなユーザーからすれば意外とありがたい存在なのだ。
レーシングナットは何を買えば良いのか?
nut屋が信用ならないとすればレーシングナットは何買えば良いのか?僕は17HEXでロックナットなどが無いシンプルなタイプが好みなので、そういうのから選びたい。当然材質はスチールかクロモリで、アルミは論外。Amazonでやたら安く売られている中華ナットは流石に選ぶべきではないだろう。
例えばKYO-EIなら「Lug Nut 17HEX 袋タイプ」はレーシングナットとして販売はされていないが、シンプルで必要十分な機能を持っていて、比較的安価。ロングタイプが無いので使い勝手は微妙かもしれない。
ちなみに色は黒よりもメッキのほうが安い。さらに19HEXにすると格段に値段が安くなる。とにかく安くしたい人はこれもあり。かっこよくはないけど…。
KYO-EIのレーシングナットはセット品だと何故か必ずロックナットが付いてくるし、飾りとか着座面が別体の2ピース構造とか凝った構造のものが多すぎて正直好きになれない。あったかと思えば7角だったりするのも困る。ただ唯一「Kics Racing Nut」だと4個セット品を必要数買えば要求を満たしてくれる。ロックナットもないのに16-20個セットに比べると割高になるのが難点だが…。あと長さが40mmなのだが、もうちょっと長いと個人的には嬉しかった。
エコイルという大阪の会社が販売するレーシングナットは1個440円(税込・2024年10月時点)と比較的安価で購入できるクロモリナット。全長40mmでローレット加工されているため手回しもしやすく、最高級の黒クロームメッキ加工されているためサビに強い。
AGITOという大阪の自動車部品販売会社が販売するオリジナルのレーシングナットは、レースやラリーやダートトライアルなど様々な競技シーンで使用されている実績のあるナット。長さの種類が多いし、ナット先端がテーパー形状になっているなど、実際の競技中での使用感の良さを追求していて気になる。でも貫通タイプだけロゴの主張が激しい。
微妙に安く買えるのがRAYSのレーシングナット。25mm・35mm・48mm・58mmの4種類の長さを選べるのが良いし、ロゴの主張が控えめで、色もつや消しグレーで渋い。RAYSの鍛造ホイールは高くて買えなくても、RAYSのホイールナットなら手が出せる。
他にもWedsSportとかJuran Racingとかからも販売されているので、自分の宗派にあったものを選べば良いと思います。
KYO-EIの19HEXを除けばどれもnut屋に比べて高くはなるが、数千円をケチった結果ホイールが外れると凄まじいお金がかかってくるので、結果安いという考え方もある。ホイールナットは安全性に大きく関わってくる部品なので、己の信じるホイールナットを信じましょう。
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