個人売買で買ってきたDaytona675だが、引き取った段階で車検を通すという意味での問題はなかったので、灯火類とネジの緩みだけチェックしてそのまま陸運局に持っていくことに。
バイクの車検(ナンバーを切っていたので新規登録)は初めてなのだが、車に比べるとレーンは空いているし、検査員の人が懇切丁寧に教えてくれるので不安はない。バイクならではのスピード計測方法(車と逆でローラーが40km/hまで加速させてくれる)なのが面白かった。特に問題なく検査が進んだ。
光量が全く足りない問題
ところがヘッドライト検査で検査落ち。光軸が低いのは良いとしても、光量が足りてないとの判定を頂いた。え、光量不足は困る。それって基本的にバルブ交換以外で対処のしようがない。
ひとまずテスター屋でチェック。バイクのヘッドライト検査では光量が15,000cd(カンデラ)以上必要なのだが、どう測っても12,500までしかいかない。光軸を調整しアクセルを捻っても全く変化しない。うーむ困った。しかもなんか配線に加工された跡があって明らかに怪しい。もしかしてこれ、ヘッドライト検査はバッ直配線で車検を通していたのでは…?
おそらくここから分岐させてバッ直配線を噛ましていたのだろう。
ひとまずバルブをチェックしてみたところ、バルブが軽く曇っていたので新品に交換することに。小糸製のH9ノーマルバルブで定格65W、価格は1,760円。純正相当のハロゲンバルブは安くて明るくて良い。
バルブを交換していざテスターにかけてみるが、なんと困ったことに13,000cdしかいかない。つまりほとんど明るくなっていない。端子部分で電圧をチェックしてみても12.5vが来ており、電圧的な問題はなし。むしろアクセルを開けても12.5vで変化がないので、レギュレーターの優秀さがよく分かる。
でもそれはつまり、積み…。新品バルブで通らないということは最悪ライトケース自体の交換になってしまう。それは嫌だ。
この日は完全にタイムオーバーなので、何かしらの対策をして再検査するしかない。陸運局に戻って限定自動車検査証をもらって一度家に帰った。
バッ直(意味深)配線で挑む
どう考えても前オーナーはバッ直配線を通していたはずなのだが、それをわざわざ撤去しているあたり、車検時のみそれで対策していたことが推測される。Daytona675はヘッドライトのカバーが特殊形状で、バルブ以外のものを詰め込むのが難しいため、車検時のみカバーを外して配線を通していたのだろう。
となるとまともなバッ直配線を作るのはバカバカしい。というかこのときは手元にリレーやスイッチが無かったので、ちゃんとしたものを作るのは不可能。では正攻法ではないが確実に光量が上がる方法を考えねばならない。そして作ったのがこれ。
バッ直というか、むき出しの外部電源配線。
H9ヘッドライトバルブに直接配線を付けてしまって、それをLiPoバッテリーで直接光らせてやろうという作戦だ。バッテリー電圧は12.5vを確実に超える、というか14v以上は確実に欲しいので定格電圧14.4v、フル充電だと16vを余裕で超える4セルを使用する。リレーは無いけどこういうのは持ってて良かった。ON/OFFは直接コネクターを脱着することで対応。
夜になってテストしてみたところ、普通にライトを付けるよりもあからさまに明るいので、きっとこれで通るはず。流石に高電圧をかけてバルブが切れると悲しいので、車検時はこれまで付いていて少し曇ってしまった古いバルブで挑もう。LiPoバッテリーが燃えないかのほうが不安でしょうがないが、いざ再検査の時間だ。
3倍の明るさ!これでライト検査に勝てる
翌日朝から昨日お世話になったテスター屋に出向いてチェックしてもらったところ、なんと光量は45,000cdを超えていた。昨日の3倍の明るさだ。これならあの憎きライト検査に絶対勝てる。バッチリ光量がでたので光軸を調整してもらって、いざ2度目の検査レーンへ。
ところがDaytona675を見た検査官が首をかしげる。そりゃそうだ。よくわからないものがテープでくくりつけられているのだから怪しいったらありゃしない。
これは…一体何ですか?
ヘッドライト用のバッテリーですが…
バッテリーが固定されてないですし、このバッテリー充電されないですよね?しかも片手でライトのON/OFFを操作できないですし、これじゃだめですよ。
バッテリーが固定されてなきゃいけないとか、充電されなきゃいけないとかいうルールって有りましたっけ?
ちょっと調べますね…
確かにそのようなルールは無かったです。でもこれ、メーター内のハイビームランプと連動してないですよね?この年式は連動してないとダメなので、これでは検査できません。
あ・・・確かに・・・。
直してきます・・・。
確かに検査官の言う通り、ハイビームを付けたらハイビームランプがつかなければならない。ところが現状完全に独立したハイビーム配線になっているので、そんな物連動しているはずがない。流石に適当に作りすぎた。出直してこよう。
リレー付き外部電源配線で再挑戦
検査官曰く、
- 外部電源でハイビームを点灯させるのは無しではない。ただタイラップでいいからバッテリーはしっかりと固定して欲しい。
- 片手で簡単に操作できて、かつハイビームランプがその操作に連動していなければならない。
の2点を満たしていないと、検査レーンに通すことは出来ないとのこと。これを満たすためには手持ちの材料が足りないので、カー用品店でリレーを買ってきた。
ハイビームのスイッチに連動させれば良いので、リレー動作用の配線はハイビームの車体側カプラーに割り込ませるように、そしてバルブは外部バッテリーに繋がる配線を組めば良い。これでハイビームスイッチONでリレーが作動し、バルブとLiPoバッテリーが繋がるはず。
回路としては超簡単なのでサクッと作成。
あとは言われた通りバッテリーをタイラップでしっかり固定して、
配線を取り回す。カプラーレスで端子を直接突っ込んでいるだけだと簡単に抜けてしまうので、そのへんは適当にアセテートテープでぐるぐる巻きにして、余った配線も適当にテープ止め。動作確認したところ、ハンドルのハイビームスイッチでハイビームが点灯、メーター内のランプも連動して点灯する。これで要件は満たした。
ところで、「ここまでするなら普通にバッ直配線作ればいいじゃない」となるのが普通。僕も全くそう思ったのだけども、この車両のバッテリーは少し弱っていたし、バッ直配線しても確実な光量アップを望めるかと言われれば微妙なところがあったので、今回は外部電源で行くことにした。
まさかの検査落ち。光軸を再調整
3度目の検査ではドヤ顔で検査員に新システムを見せて目視検査を通過、いざ検査レーンへ。もうこれで今日は終わったな~なんて思いながらヘッドライト検査を受けていたら、画面にまさかの赤い❌印。
え・・・?
なぜ・・・???
もう一回検査してくれたのだが、同じく不合格。光軸検査の結果を紙に印刷してもらいチェックしてみると、少し光軸が下を向いているとのこと。ついさっきテスター屋で調整したのに…。
実はこの直前に他のバイク車検に並んでいる人と話をしたのだが、「ここ最近ヘッドライト検査の機械が新調されてから光軸が低く出る場合が多発していて困る」なんて話題が出ていた。そんな機械の読み取り具合で落とされるなんて理不尽だ。
仕方がないのでもう一度テスター屋に出向いて見てもらったところ、こちらの機械では間違いなく合格範囲にいる。ただDaytona675のヘッドライトは全体的に縦の楕円形に光っているようで、もしかすると陸運局の機械は少し低い場所を最高光度点として読み取っているのではないか?と推測された。しょうがないのでこちらの機械では上向きに外れた位置に光軸を再調整してもらった。
4度目の検査でやっと合格
これで落ちたらまた別日に追加料金を払って検査せねばならない。それは絶対嫌だ。検査を受けている間、いつもは憎んでいるヘッドライト検査の神に対し、このときばかりは祈りを捧げる他無い。
そして出てきた答えは…
合 格
たかだかヘッドライトの明るさをどうこうするだけなのにやたらと長い道のりだった…。
Daytona675のようなプロジェクター式ヘッドライトはどうしても光量不足に陥りやすい上、11年前の外車なので多少苦労するかな~なんて思っていたが、まさかこんなに苦戦させられるとは思いもしなかった。2日で4回も検査レーンに並んだので疲労困憊。お陰で仮ナンバーを付けながら50kmも走ってしまった。
しかしこれで無事にナンバープレートを取得できてよかった。この経験を元に2年後は一発で通せることを祈るしか無い。
外部電源ハイビームを真似する人向け
こんなもの真似する人はいないとは思うが、絶対光量検査で落ちたくない人向けに外部電源ハイビーム配線に使用した物を掲載します。既にLiPoバッテリーや充電器を持っていて、なおかつヘッドライトの光量が怪しい人なら一つ持ってても損は無い…かも?これを個人で車検専用に買うのはオススメしません。
コメント