バイクに乗ってない人から「夏のバイクは涼しそうでいいね」とよく言われるのはバイク乗りあるあるだと思うが、知っての通り夏にバイクに乗るのはほぼ自殺行為と言って良い。
だいたい夏場に長袖長ズボンにヘルメットまで被って、熱源のエンジンを抱えながら炎天下にさらされているし、どれだけ走って風に当たっていたって、その風が30~40℃もあったら涼しい訳がない。
というわけで夏場はバイクをガレージの隅に置いて、冷房のよく効く車で移動するのが一番いいのだ。
でも夏にもバイクに乗りたい そんなあなたに冷感インナー
それでも夏にバイクに乗りたい。そんなバイク狂いでも快適に夏を過ごせる方法はなにかないのかと考えたときに、冷感インナーを試してみることにした。
そもそも暑いのになぜインナーを重ね着すると涼しくなるのか?これにはインナーの吸汗速乾作用が影響している。
そもそも汗はそれが乾いていく気化熱により体温を奪う仕組みで身体を冷却している。でも実際のところ、ぼたぼた垂れるほどかいた汗は意外と乾きが悪い。
この汗をインナーが吸い取り、速乾性の高い素材で素早く気化させることで冷却効率をアップさせるのだ。水を単純にぶちまけてもなかなか乾かないが、霧吹きで撒けば一瞬で乾いていくようなもの。
なので理屈から言っても「インナーを着ると涼しくなる」というわけではない。「インナーを着ると効率的に体の熱が奪われるので、身体の蓄熱を抑えられる」という方が正しい。
またインナーにUVカット機能などがあると、直射日光から肌を守ってくれる効果もある。半袖Tシャツの上にメッシュジャケットを着ると意外と腕が日焼けするが、インナーさえあれば直射日光から守ってくれるので暑さを感じにくくなるというわけ。
おたふく手袋 BODY TOUGHNESS 接触冷感夏用インナー
というわけで今回買ってみたのは、おたふく手袋のBODY TOUGHNESS CROSS COOL夏用インナー。
おたふく手袋は大正15年創業の作業服製造販売メーカーで、BODY TOUGHNESSは高機能インナーブランド。作業現場のみに限らず、最近は様々なスポーツでも使えるようなインナーを販売していいる。夏用インナーは
- ハイエンドモデル(EVO)
- 消臭機能UPモデル(CROSS COOL + DEODORANT)
- スタンダードモデル(CROSS COOL)
- オールシーズン対応モデル(OVER THE FUNCTION)
の4種類があるが、今回選んだのはベーシックモデル。一枚約1000円という値段の安さはもちろん、スタンダードモデルでも
- コンプレッション機能
- ストレッチ機能
- 吸汗速乾機能
- 紫外線軽減機能
- 接触冷感機能
- スピード消臭機能
が備わっていて十分に高機能。ちなみにCROSS COOLはおたふく手袋の接触冷感+吸汗速乾機能生地の名前らしい。
今回はハイネックシャツ(JW-625)とロングパンツ(JW-633)を買ってみた。パンツはなくてもいいかなと思いつつ、汗をかいてスボンが脚に張り付くのは結構不快なので、それが緩和されたら良いなと期待して試してみる。
国産老舗作業着メーカーならではの高品質
細かいところを見ていくと、流石は国産の老舗作業着メーカー品なだけあってかなりしっかりした作り。生地は夏用インナーの割には少し厚みのある印象だが、ゴムのようによく伸びる。縫製もほつれなどは一切なく、強度が必要なところはしっかりと縫われている。JW-625はサイドがメッシュになっているのだが、そういう部分の継ぎ目も美しい。コンプレッションインナーならではだが、なるべく縫い目が肌にきつく当たらないように工夫されているなど本当によくできている。
これが1枚1000円なのだから、よくわからない適当な中華インナーを買う理由がない。
コンプレッション機能があるのでピチピチ
サイズ表を見て上下ともにMサイズを購入したが、コンプレッション機能があるインナーなので着心地はかなりピチピチ。流石にこの姿をブログに載せられるほど僕はいい体をしていないので画像はパス。でもサイズ感はバッチリだし、かなりよく伸びるので締め付けられている割に身体はきちんと動かしやすいのが面白い。着た瞬間にヒヤッとする接触冷感が気持ちいい。
JW-625はハイネックシャツなので首の後ろの方までしっかり太陽光から守ってくれる。着た直後は首が若干締まるのが気になったが、しばらく着ていると気にならなくなるのでOK。
普通に着て屋外作業してみた
まずは今回のおたふく手袋インナーの上に半袖半ズボンを履いて、屋外で1日作業する機会があったので使ってみた。
普段だったら汗がダラダラ出てTシャツもズボンもベチャベチャになるような場面だったが、かなりさらっと快適な状況が維持された。突っ立っているだけだといまいち涼しいようには感じないのだが、少し風に当たるとインナーに染み込んだ汗がすっと乾いて一気に身体が冷却されていく。今回は黒を選んだので日に当たると熱が気になるかなとも思ったのだが、むしろ日光がジリジリと肌を焼く感覚が無いので過ごしやすささえあった。
扇風機の前にいるとすごい勢いで汗が乾いていくし、水をインナーにかけると一気に身体が冷やされていくので、熱中症対策にはかなり有効。ただ普段以上のスピードで汗が乾くせいかやたらと喉が渇いたので、そこは注意が必要に感じた。どちらにしても夏場は水分補給が大事なので水はたくさん飲みましょう。
ただ夕方になり気温が下がってくると、ほとんど汗をかかなくなるためインナーを着ているのが邪魔に感じてきた。この状況でインナーを脱ぐと、直接肌に当たる風のほうが涼しく感じる。やはりガッツリ汗をかくか、あるいは強制的に水をかけて濡らすかするような状況ではインナーの有効性はかなり高いが、そうでない場合は素肌のほうが快適なようだった。
気温35℃の中インナーを着てバイクに乗ってみた
というわけで本番。気温35℃の真夏日におたふく手袋インナーを上下に着てバイクに乗ってみる。バイクはミドルクラスSSのDaytona675。排熱もすごいし、センターアップマフラーのお陰で普通に乗っているとお尻が焼けるように熱いバイク。
上はおたふく手袋インナー<綿のTシャツ<コミネ JK-159 プロテクトクールドライパーカ、下は下着<おたふくインナー<一般的なジーンズという服装でチャレンジしてみる。
おたふく手袋インナーのロングパンツ(JW-633)は下着としても着用できるようになっているが、今回は試しに下着の上から履いてみた。
止まってると日光とアスファルトからの照り返しとバイクからの熱でダラダラ汗が出るのだが、少なくともインナーのお陰で背中を汗が伝うような感覚はゼロ。すごい勢いで汗を吸ってインナー全体が湿っていく。
そして走り始めると走行風で一気に冷却!もちろん気温が35℃と高いので、当たっている風自体も高温なのだが、染み込んだ汗が気化していくときに熱をガンガン奪っていくのでかなり涼しい。というか状況や速度域によってはちょっと寒いぐらいまである。インナーレスの状態ではなかなかここまでの冷却効果は得られないので素晴らしい。
対して下半身はさほど涼しさを感じられない。これは乗ってるバイクがフルカウルで、下半身にほとんど風が当たっていないことが原因だと思われる。実際足を伸ばしたり股を開いたりして風を当てるとすっと涼しくなった。ただ通気性の殆どないジーンズを履いていることもあって、上半身ほどの快適さはなかった。
また面白かったのが、この状況ならフレームやシートが熱くて本当につらいなと思うことが多いはずなのだが、意外とそこまで感じなかったこと。おそらく汗でしっとりと濡れたインナーが足やお尻周りを守ってくれることで、熱源からの直接の攻撃を防いでくれたのではないかと思う。単純に着ている服が1枚多いせいかもしれないが。
そんなこんなで真夏日の日中に約2時間半ツーリングして、ガッツリ汗をかいたが、疲労感はいつもより軽かったように思う。インナーに汗はがっつり染み込んでいたが、ジャケットもジーンズもそこまでベタつかずにすっと脱げたのも嬉しいポイント。
インナーは真夏の疲労感軽減に有効
おたふく手袋の夏用冷感インナーを着て実際にバイクで走ってみて、
インナーは真夏の疲労感軽減にかなり有効!
と思った。かいた汗をガンガン吸ってくれるのでベチャベチャにならないし、走行風が当たれば一気に身体が冷却されていく。Tシャツの上からジャケットを着ただけの状態よりも快適性は高かった。
ただ当然最初にもかいた通り、インナーを着れば身体が冷えて涼しく感じるわけではない。あくまでもかいた汗を効率的に乾燥させることで体の熱を奪っているだけなので、汗をかかない状況や、高温多湿過ぎて身体の熱が逃げづらい状況ではあまり効果がない。本当に暑いときは素直にバイクに乗るのをやめて、冷房の効いた部屋でゆっくりするのが良い。
おたふく手袋のインナーはバイク系ブランド品よりかなり安いので、とりあえず試してみるのにもおすすめ。性能も高いのでこれで十分だとすら思う。
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