先日商品提供を受けてRX-8のヘッドライトロービームをBORDANというブランドのLEDバルブに交換した。LEDバルブは点灯のキレが良いし、最近のLEDはかなり明るく進化したこともあって見やすくてよいのだが、個体差か製品自体の問題か、ちょっと気に入らない点があった。
ここで再びHIDバルブに戻すのは簡単だが、それは面白くない。DA17Vエブリイに使っていてめちゃくちゃ明るくて調子がいい、あのメーカーのLEDバルブを買ってみよう。
HID屋の完全ポン付けLEDバルブDsシリーズ D2S用
今回購入したのが、HID屋のDsシリーズLEDバルブ。RX-8のヘッドライトはD2S規格なのでそれを選択した。品番はLHFD2S06。
LEDバルブ本体と取扱説明書・製品保証書が付属。バルブ自体に保護ケースが付いているのが高級感があって嬉しい。
完全ポン付けでHIDをLEDにできるヘッドライトバルブ
HID屋Dsシリーズは見ての通りコントローラーレスのバルブで、HIDバルブから完全にポン付け擦るだけでLED化を実現するヘッドライトバルブ。
HIDはLEDやハロゲンとは動作原理が異なり、12Vの電源をコントローラー(バラスト)で点灯直後は約2万V、安定動作後は約85Vまで昇圧させて、電極間の放電を光に変えている。当然のことながら通常のLEDバルブは2万Vなんて高電圧に耐えられないので、これまではLEDバルブに置き換えたいならバラストを取り外して配線加工する必要があった。
実際にHID屋の最も明るいQシリーズは配線加工必須なのだが、それをやるのはめんどくさい。まずはポン付けできるタイプの実用性を見ていきたいと思った。
HID屋 DsシリーズD2S用LEDバルブのスペック
HID屋 DsシリーズD2S用LEDバルブのスペックは以下の通り。
- 色温度:6500K
- 明るさ:1灯あたり19,300cd
- バルブサイズ:高さ68mm×横幅31.8mm
- 防水防塵:IP67
- 消費電力:35W
- 電圧:12V車専用
- ドライバー・小型ファン内蔵
- 保証:1年
ロービームの場合は車検基準の明るさは6,400cdなので、19,300cdを謳うこの商品は車検基準の約3倍の明るさを実現するということ。数値的にはHIDバルブと大差ないと思われる。
絶対的に明るいバルブが欲しい人はHID屋のハイエンドモデルであるQシリーズ(明るさ68,400cd)を選ぶべきだろう。
内蔵される小型ファンは根元の方にある。中心には銅の熱伝導体や細かな冷却フィンがあり、コネクター部分を除いて金属製となっていることからも冷却にはかなり気を配っている様子が見て取れる。塗装の感じとかも含めてSUPAREE/BORDANのそれよりも質感が良い。
純正HIDバルブとの比較
RX-8純正の小糸製作所製HIDバルブと比較しても、発光点の高さは同じ。ファンや冷却フィンがある分だけLEDバルブのほうがずんぐりむっくりしているが、装着に関しては問題のない構造をしている。
BORDAN LEDバルブとの比較
価格的に若干安価なBORDAN製LEDバルブとも比較してみる。BORDANのほうが僅かにサイズが大きく、また発光点も大きく見える(どちらもLEDチップ数は15個)。細かな意匠の違いはあるが、質感を含めて手の込んだ作りをしているのはHID屋の方で、価格差分の違いは感じられる。
バルブ交換だけの超簡単取り付け
今回はヘッドライトのウレタンクリア塗装中に行ったのでヘッドライトが車体から外れている状態でバルブ交換したが、当然のことながら交換作業は超簡単。ハロゲンバルブやHIDバルブの交換と全く同じ要領でポン付け出来た。
当然だが裏蓋の防水カバーも完璧に閉まる。こういう取り付けが簡単で確実なのがポン付けできるタイプのバルブのいいところだと思う。
点灯直後からほぼ100%の明るさ!LEDらしいキレの良さ
HID用のバラストを介しているにも関わらず、スイッチをONにした瞬間からほぼ100%の明るさというLEDらしい点灯のキレの良さを見せてくれる。トンネルに入ったときなどにはこのキレの良さのありがたみは実感するし、HIDから現代化されたことを感じる瞬間でもある。
色味はかなり純白に近い白。これまで付けていたPHILIPSのX-treme Ultinon(社外HIDバルブ)とほぼ同じような色味で、若干黄色かった純正HIDバルブに比べると明らかに白い。今どきの純正LEDヘッドライトの車に近いような色でかっこいい。
冷却ファンの音は中音域のヒュイーンという音で、ハイブリットやEVのインバーター音に近いイメージ。エンジン停止状態で車外にいると少し聞こえるが、エンジンがかかっていれば全く気にならない程度の音量。エンジンかけた状態で車内に居れば全く聞こえない。
LEDバルブは左右2面発光なので、HIDと違って光源が2つに分かれていることがレンズ内の反射で分かる。このあたりが陸運局やテスター屋さんで指摘される「光の散らばり」なんだろうなぁというのが実感できる。実用上の問題はないが車検でどうなるのかは気になるところ。
ラジオなどのオーディオにノイズが乗るといった現象は確認出来ていない。ノイズ対策もしっかりと施されている様子。
HIDや中華LEDバルブに比べても明るく、均一に照らすので見やすい
HID屋 DsシリーズD2S用LEDバルブを装着して最初の夜にライトをONにした瞬間、思わず「明るい!」と声が出てしまうぐらいにははっきり明るい。これまで付けていたHIDはもちろん、BORDANのLEDバルブに比べても間違いなく明るい。最近の純正LEDヘッドライト車と遜色ない。
カメラを肉眼に近い明るさに設定するとこんな感じ。左のパイロンや壁を見てもらえれば分かる通り、遠くまで光線が伸びていき、視界を明るく照らしている。LEDらしい直線的な光で陰影がはっきり出るので歩行者や障害物が見やすいし、色味も自然で、最近の純正LEDライトの車と変わらない程度。
BORDANのLEDバルブで気になった「ちょうど明るく見たい場所が暗い」という現象だが、HID屋のバルブでも僅かには存在した。だがこちらのほうが照射範囲の明るさが均一で、ロービームの照射範囲で目視だとほぼ気にならないレベル。見やすさははっきりとHID屋に軍配が上がった。
RX-8はD2S規格のプロジェクターヘッドライトなのであんまりバルブ性能に影響されないとはいえ、カットラインは驚くほどはっきりと出ている。目視で確認できる限りはちょうどエルボー点の辺りが最も明るいので車検も大丈夫そうな気がする。
とはいえこのDsシリーズはHID屋のLEDバルブの中では明るさは控えめで、公表値は19300cd。DA17Vエブリイに装着しているMシリーズは購入当時でラインアップで一番明るかった49600cdを誇ることもあり、エブリイのヘッドライトと比べるとちょっと暗いのは否めない。
それでも間違いなく十二分に明るいのだけど、やはりそれ以上が欲しい場合は、配線加工必須ながら最強の明るさを誇るQシリーズ(68400cd)を選ぶべきだろう。敢えてDsシリーズを買ったくせにちょっと欲しくなってきた…。
というかもうポン付けLEDバルブでHIDよりはっきりと明るさを実感できる時点でやばすぎる。配線加工に抵抗がある人はもちろん、DIYでサクッとヘッドライトの明るさUPを手に入れたい人にとって、こんなに素晴らしいバルブは他にない。
エブリイのヘッドライトに使って以来HID屋に高い信頼を置いているが、やっぱ凄いわと感心する他無かった。他の高級ヘッドライトバルブブランドに比べて価格が安いのも合わせて、これを選んでおけば間違いないなと思った。ハイビーム用のH9バルブも作ってほしい…。
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