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【レビュー】ATR-K SPORTはアンダー1万円/本の低価格ハイグリとしては最強のサーキットタイヤ

2019年12月から使用中のATR-K SPORTについてレビューを行う。なお、公開時点ではまだ使い切っていないので、主に耐久性などについては今後加筆修正が行われる予定。【追記】2020年10月に使い切ったので加筆修正しました。

使用期間は2019年12月~2020年10月の約10か月。使用期間の走行距離はおよそ1.2万km。

タイヤは4本すべてが2019年第33週製で、サイズは255/40ZR17 94W。UTQG表示はTreadwear:140、Traction:A、Temperature:A。重量は1本当たり11.4kgだった。

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サーキットでの印象

サーキットは合計6回走行している。1回目の美浜サーキットは足回りのセットアップを大きくミスっていたので参考程度。

空気圧は温間210~220kPaでセット

ATR-K SPORTはハイグリップタイヤとしては普通程度の構造的な硬さを持つタイヤで、丸みを帯びたショルダーからも全体で高剛性を確保しているような感じがする。一部レビューでは「サイドがヨレるのでエア圧は高めが良い」という話もあるが、使ってみた限り240kPa程度まで行くとタイヤが動かずにグリップ感が下がる感覚があったので、僕は温間210~220kPaで使用していた。冷間では170~180kPaぐらいでスタートさせるとちょうどよくなる。タイヤが温まってエア圧が上がるまではグリップ感が薄いので、そのあたりでは少し注意が必要。一発のタイムだけ狙うのであれば、冷間200kPaスタートでエア圧が余計に上がる前にアタックを終了させる、というのも良かった。

ドライグリップ★★★★★

縦も横もアンダー1万円のタイヤとは思えないほどしっかりとグリップする。モーターランド鈴鹿を車高調以外ノーマルのRX-8で47秒台入りと考えれば、驚異的な性能だ。ストッピングパワーはかなり立ち上がるし、コーナー旋回中の横Gもかなりかかる。一方で斜め方向にターンインするようなコーナーでは若干の物足りなさはあり、その領域においての粘りは少し不安定。

コーナー出口で加速するときは重さがあり、少し脱出がもたつく印象はある。転がり抵抗も良くはないようで最高速にも影響が有りそう。タイヤ自体の重量も重たいので、そのあたりが悪い方向に効いていると思われる。

縦横にメリハリのある走りをすると、タイヤの良さが活かせるかもしれない。

レイングリップ★★★☆☆

完全なフルウエットのサーキットは走っていないが、極端に恐れるほどではない。人の車での経験になるが、意外と雨でもグリップする。もちろん雨量が多いと排水性能が高くないので良くないが、しとしと雨程度なら問題ない。ただ友人は僕の言葉を真に受けてクラッシュしたので、そこまで期待はしない方がいいとは思う。基本的にタイヤが冷えている状態でのグリップは高くないので、冷やさないように注意しなければならない。

熱入りの早さ★★★☆☆

ジムカーナ的な使い方には向いていないが、普通に走れば普通に温まる。最初からアタックするつもりで走れば、ミニサーキットなら計測3周目ぐらいからベストに近いタイムが出ると思われる。

周回性能★★★★☆

熱ダレは当然のようにするし、タイムも落ちるのだが、だからといって極端にフィーリングやタイムが悪くなることはない。「走れば走るほどタイムが上がる」ような人にとっても使いやすいと思われる。

ただ、一度熱が入ってしまうと完全に冷めるまではベストタイムが出せる状態にまでは戻らない。一時間枠の中で何回もタイムアタックしたい!となると、水などを使ってトレッド面を強制冷却させる必要がありそう。

操縦性★★★☆☆

そこまで気になるポイントはない。前述のとおり斜め方向への粘りに関しては若干の物足りなさがあるが、そこは僕が求めすぎな気がする。適度に粘るのでスライドコントロール悪くない。カチッとしたハンドルの手応えというのは少し薄いが、ダルい感じも特にない。流れ出しは素直で極端なピーキーさも無いので扱いやすい。

ただタイヤがねじれた状態(ハンドルを切った状態)から直進に戻る時にグイっとタイヤに戻される感じがある。Rの大きいコーナーは気にならないが、ヘアピンの出口は少し癖がある。大きく問題はないが、部分部分での操縦性の癖は存在する、そんな感じ。

耐久性★★☆☆☆

耐久性は高くない。サーキットではちゃんと熱が入ったなりの溶け方をして、それなりに減っていく。元から溝が5.3mmしかないので、長く使いたい人には向かない。

また履きっぱなしで運用していると少々劣化が早いのか、あるいは熱が入ると劣化が進みやすいのか、もしくはトレッドゴムが薄くなったせいなのか、8か月ほど使っていると小石がペタペタ張り付く感じがだいぶ減ってしまい、タイムも大きく落ちた。賞味期限は短めに思う。

ただ出せるタイムから考えればかなり安いので、気にせずガンガン走ってダメになったら交換、という割り切りで使うのが良いと思う。

ピックアップ★★★★☆

走行後にタイヤカスをいくらか拾うが、べたっとくっついて離れなくなるほどではない。今どきのスーパーラジアルが大量に走った路面では流石にそこそこの量を拾うが、話にならないぐらいまとわりつくことも無い。僕は全く気にならないし、気にしないレベル。

街乗りでの印象

基本的には高速道路移動が多いが、普通の街中を走ったりワインディングを抜けたりもしている。雪が舞うような真冬も経験した。

ドライ性能★★★★★

文句なし。道交法に則った範囲で不安なことはないし、高速道路のジャンクションなどを少し速いスピードで通過しても全く問題ない。

レイン性能★★★★☆

レイン性能もまず問題はない。前が見えないような豪雨では正直不安を覚えるが、そうでもない限り普通に走っている分には大丈夫。ただやはり浅溝かつブロックが大きいパターンを採用しているので、水たまりを避けながら落ち着いて走ることが大切。

静粛性★☆☆☆☆

うるさい。人によってはかなり気になるレベル。走り出した瞬間からザラザラと言い始め、高速道路では低周波でフォンフォン鳴るので、オーディオの音量は一コマ上げたほうがいい。ただ高周波ノイズではないので、どうしようもなく耳障りということはない。

乗り心地★☆☆☆☆

良くない。普段コンフォートタイヤを履いた車に乗っていると気になる程度にごつごつする。また(タイヤサイズの影響もあるが)路面のわだちもそこそこ拾うので、トラックの通行量が多いような道路では注意が必要。ただ直進安定性は高いので、高速道路の長距離移動は特に苦にならない。

耐久性★★☆☆☆

街乗りタイヤとしては当然低い。ただ熱が入らないと作動しない設計になっているようで、普通に走っているだけで見る見るうちに減っていく、というようなことはない。履きっぱなしでもさほどの問題はない。

アンダー1万円で最強のサーキットタイヤ

正直なところ街乗りタイヤとしては苦痛に感じる部分は多いので、このタイヤで日常を送るのはあんまりお勧めできない。その一方で、

「とにかく安いタイヤでタイムを出したい!」「ある程度周回を重ねてアタックしたい!」

という人にとってはかなり魅力的なタイヤだと思うし、ガンガン使えるのではないだろうか。不満もあるが、1万円/本の値段でここまでのタイムをだせるのであれば上等だろうし、同価格帯では最強と言えると思う。賞味期限は短いが、サーキットでどんどん使って、溝が無くなったら新品に履き替えてしまえばよい。割り切って使える人にはこれだけコストパフォーマンスが高いタイヤも無いだろう。

あとは欲しいサイズがあるかどうかという問題だけ…。

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