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RX-8にショートスタビリンクを導入~スタビライザー角度適正化と、ついでにスタビブッシュのグリスアップ

前々からサーキットを走ったときのターンインでの挙動が気になっていた。ロールが深くなっていく過程に置いて特にリア周りのスタビリティが低く、突然スッポ抜けるような動きをすることがよくあるのだ。僕のRX-8は純正マフラーという超重量物がリアオーバーハングに鎮座している他、リアにストローク量が短めの車高調を使っているという都合上、そういうタイミングでの挙動の不安定感が出るのは致し方がない部分ではあるのだが、可能であればどうにかしたいと前々から思っていた。

というわけで、それをどうにかするためにショートスタビリンクを導入してみる。

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車高を下げた車でスタビライザーの角度を適正化するとスタビがきちんと効くようになる

車高調などにより車高を下げた車は、スタビライザーの角度が「バンザイ」状態になりがち。ここでは詳しい説明は省くが(詳しく知りたい人はFujiさんのブログを参照)、こうなるとサスペンションがストロークしたときのスタビライザーのねじれる量が減ってしまうのだ。

オレンジの棒がスタビライザー、円の中心がスタビの回転中心点、薄いオレンジがストローク時のスタビの位置。

スタビライザーは金属の棒がねじれることで左右のサスペンションのストロークを規制するものなので、ねじれる量が減るとスタビライザーの効き方が弱くなってしまう。つまり単純に考えればロール量が増えるので、コーナリング時の不安定感を生みやすくなる。一方で左右のサスペンションが独立して動きやすくなるので、直進安定性は増すはず。

このバンザイ状態を、車高を下げた分だけスタビリンクを短くすることで角度を適正化すると、スタビライザーの持つ本来のレートが使えるようになる。結果、僕の悩んでいるコーナリング時の不安定さを改善できるのではないかと考えたわけだ。

ちなみに「ショートスタビにしたら脚の動きがしなやかになって乗り心地が良くなった!」という声もあるが、ショートスタビにしてもそのような効果はないはずなので僕は懐疑的。あるとしても交換ついでのグリスアップなどによって何かが改善されたか、プラシーボだと思う。

純正流用でRX-8のスタビリンクをショート化

スタビリンクのショート化には、

  1. 純正スタビのカット&長ナットで再接続
  2. 社外の調整式ショートスタビリンク導入
  3. スタビリンクの純正流用

などの方法がある。一番安上がりなのは純正スタビカットなのだが、僕のRX-8のスタビリンクはすでにブーツが破れまくっているのを数年間放置していて状態が良くない。なので今回は純正流用でスタビリンクをショート化する。車の動きを改善したいのは主にリアだが、今回は前後共にショートスタビ化していく。

純正流用品として選んだ部品がこちら。

  • マツダ N243-28-170 ×1個
  • マツダ N243-28-190 ×1個
  • マツダ 9YB0-41-036(ナット)×4個
  • 555 SL-6650-M(スバル純正品番:20470-SA000)×2個

N243-28-170とN243-28-190はNDロードスターのリア用スタビリンクで、これをRX-8のフロントに使う。左右で形状が違う上、取付ナットが付属しないので、ナットは別途用意したほうがいい(9YB0-41-036)。

SL-6650-Mはスバル純正互換のスタビライザーで、レガシイかインプレッサ用らしい。こちらはナットが付属しており、RX-8のリアに流用する。555がGMBで純正互換品が売られているが、僕が買った時は555製の方が安かった。

フロントのスタビリンクをショート化

ジャッキアップしてフロントタイヤを外し、ブレーキローターの奥を覗くとスタビリンクが見える。写真を撮り忘れたが、僕のRX-8の場合ジャッキアップした状態で軽くスタビリンクが上を向いているような角度になっていた。

スタビリンクは前後左右共に14mmのナットで固定されているだけ。なのだがこれが恐ろしく硬い。足回りということで長年雨風にさらされてきた結果錆と固着がひどく、作業スペースの狭さも相まって外すのに非常に苦労した。潤滑剤の塗布は当然だが、長めのスピンナーハンドル、電動インパクトドライバー、はたまたガスバーナーなど手持ちのあらゆる工具を駆使してなんとか外れたレベルで苦労したので、外せなくなるリスクを考えるとプロにおまかせしたほうが無難。

ナットが途中から共回りしてしまう場合は、スタビリンクのボルトに空いている穴に5mmの六角レンチを差し込む。

純正とショートスタビリンクの比較。流用するNDロードスター用はだいたい5~6cmほど短い。若干短すぎる感はある。

ついでにスタビライザー可動部へのグリスアップを行う。スタビを抑えているブラケットは14mmのナット2つで止まっているだけ。

スタビブラケットとブッシュを外したら、ブッシュの内側にシリコングリスを塗る。

グリスを塗ったブッシュとブラケットを元に戻すと、スタビライザーがスルスル動いてすごく気持ちいい。ただ他のサスアームが全部ゴムブッシュなので、スタビがスルスルになったところで効果を実感することは普通出来ないと思う。

あとはショートスタビリンクを取り付けるだけ。流用するNDロードスター用はボルトの長さが若干短くナットのかかりがギリギリになるので注意が必要。また今後取り外す事があるときにまた苦労するのは嫌なので、僕はボルトにカッパーコンパウンドを塗っておいた。

スタビライザーの角度はジャッキアップ状態で水平より少し下がっている程度、1G状態でほぼ水平になるぐらいになった。

リアのスタビリンクをショート化

リアもフロント同様、純正スタビリンクではジャッキアップ状態ですでにスタビライザーが軽く上を向いていた。

こちらも同様に14mmのナットで止まっているだけ。もちろん外すのは非常に大変。一本は本当に取れなかったのでガスバーナーでガンガンに炙ってインパクトで外したら、スタビリンク内の樹脂が溶けてスタビリンクが完全に破壊された。でももう使わない部品なのでOK。

純正と流用するインプレッサ用スタビリンクを比較。およそ4~5cmほど短いように見える。

リアもついでにスタビブラケットにグリスアップを行った。こちらは12mmのナットで止まっている。

スタビリンクに付属されるナットを使ってショートスタビを取り付ければ作業完了。角度は丁度いいぐらいになったように見える。

ショートスタビリンク導入の効果

街乗りでの効果はハッキリとは不明

ショートスタビリンクへの交換後、少し街乗りをしてみた。が、正直なところ街乗り程度のスピードだと違いがわからない。これは僕のRX-8では多少スプリングレートを上げている(12K/10K)ため、もともと普通に走っている分にはあまりロールしないこともあるはず。わざと大きくハンドルを切った時の剛性感の向上やロール感の減少があるような気がしないでもないが…ハッキリとは不明。僕のSTDグレードはRX-8の中でも一番柔らかいスタビライザーが付いているらしいので、そのあたりも体感度への影響があるかも。ただ少しガタついている道を走るときは、左右に揺れる動きがだいぶ抑えられている。

サーキットやワインディングでは体感できるかもしれないし、僕の狙った挙動に変化するかもしれないので、分かり次第追記する予定。

サーキットでの効果はアリ

これまでサーキットを走る時、特にターンイン~クリップまでのロールしていく際の不安定さが気になっていた。具体的には特にリアの不安定感が大きく、容易にリアが流れてオーバーステア気味になることが多かった。またコーナー脱出時もアクセルONしたタイミングでトラクションがかからず、少し横に逃げていく動きがあった。これはこれでターンインで素早く向きが変わって良い部分もあったのだが、正直シビアで乗りにくいし、特に立ち上がりでのロスが大きいのでタイムが上がりづらいと感じていた。

ノーマルスタビリンクの時のオンボード

これに対しショートスタビリンク導入後は、ターンイン~出口まで終始マシンの挙動が安定。かなりしっかりした手応えをハンドルに感じながら、リアもベタッとグリップを維持して走ることができるようになったので、安心感が大きい。特に高速コーナーでの効果は絶大で、データロガーで見てもボトムスピードが上がったり、アクセルをより大きく開けられるようになった。結果的に(気温などの違いもあるが)オートポリスではタイムが1秒縮まった。特に100Rや最終コーナーでの安定感が大きいのが非常に嬉しい。

ショートスタビリンク導入後のオンボード

ただ一方で、元々アンダーが出やすいコーナーではそれが強めに出たり、より小さく曲がりたいコーナーでは思ったより入口で向きが変わらなかったりと弊害もあった。これまでは落ち着かないリアを抑えるような方向性でセッティングしていたので、そこにも原因があるはず。ショートスタビリンク導入によるコーナリングの安定感は明らかに強み。これを生かしたままもう少し車が動くセッティングや走りに修正していけば、さらなるタイムアップが狙えるのではないかと感じている。

@165384km

作業は総走行距離165384kmのときに行った。

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